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出生人口が前年比200万人減の衝撃…もう止まらない中国の少子化

一人っ子政策撤廃は完全な空振りだった

期待の正反対の結果

2019年1月10日に開催された中国政府「国家衛生健康委員会」の記者会見で、同委員会のスポークスマンで宣伝司副司長の宋樹立は、2018年の全国出生人口は前年比で200万人以上減少することになるだろうとの予想を表明した。

彼は出産に影響を及ぼす要因は比較的多く、出産適齢女性の規模、結婚年齢、出産年齢、さらには経済社会的要素などが複雑に絡んでいると述べた上で、具体的な数字は関係部門が近々発表すると言明した。

国務院で人口問題を主管する国家衛生健康委員会は、2016年1月1日を期して1組の夫婦が出産可能な子供の数を無条件に2人まで容認する“全面二孩政策(全面的2人っ子政策)”が実施されれば、全国の出生人口は大幅に増えて2000万人以上が見込まれるという楽観的な予測を2015年末に行っていた。

もしも宋樹立が表明した予想の通りに、2018年の全国出生人口が前年比200万人以上も減少するとなれば、減少幅は極めて大きく、中国にとって甚だ由々しき問題であることから、中国メディアは近々発表される具体的な数字に多大な関心を示していた。

それから11日後の1月21日、中国政府・国務院の新聞弁公室は午前10時から毎年恒例となっている国家統計局長による記者会見を開催し、国家統計局長である寧吉喆(ねいきちてつ)が「2018年の国民経済運行状況」に関する報告を行った。

新聞弁公室のスポークスマンである胡凱紅(こがいこう)の司会で始まった記者会見は、寧吉喆による国民経済全般にわたる運行状況の報告が終了した後に、出席した記者たちとの間で活発な質疑応答が行われ、3時間22分後の午後1時22分に終了した。

 

人口ボーナスは消えたのか

寧吉喆の報告の中で中国メディアによって一際大きく報じられたのは、中国の人口問題に関する事項であったが、その詳細は以下の通り。

【A】2018年末における中国大陸の総人口(31の省・自治区・直轄市と中国人民解放軍の現役軍人を含むが、香港およびマカオ特別行政区、台湾省および海外華僑の人数は含まず)は13億9538万人で、前年(2017年)末に比べ530万人増加した。2018年通年の出生人口は1523万人で、人口出生率は10.94‰であった。死亡人口は993万人で、人口死亡率は7.13‰であり、人口自然増加率は3.81‰であった。
【B】性別構成から見ると、男性人口は7億1351万人、女性人口は6億8187万人で、総人口の性別比は104.64(女性を100として)であった。年齢構成から見ると、16歳から59歳までの労働年齢人口は8億9729万人で、総人口に占める比は64.3%であった。60歳以上の人口は2億4949万人で、総人口に占める比重は17.9%であった。65歳以上の人口は1億6658万人で、総人口に占める比重は11.9%であった。
【C】都市と農村の構成から見ると、都市の常住人口は8億3137万人で、前年末に比べ1790万人の増加であり、農村の常住人口は5億6401万人で、前年末に比べて1260万人の減少であった。都市人口の総人口に占める比重(都市化率)は59.58%で、前年末に比べて1.06ポイント上昇した。“全国人戸分離人口(居住地と戸籍登録地が同一の地点ではなく、なおかつ戸籍登録地を半年以上離れている人口)”は2.86億人で、前年末に比べて450万人減少した。そのうちの流動人口は2.41億人で、前年末に比べて378万人減少した。

報告終了後に行われた質疑応答で、記者から「最近ネット上では、中国の人口はマイナス成長であり、人口ボーナスは消滅しているとの議論がなされているが」との質問を提起された寧吉喆は、次のように回答した。

「2018年における中国の人口は増大を維持しており、通年の出生人口は1523万人で、その中の相当な比率が2人目の子供であったが、この数字は相当なものである。また、労働年齢人口は依然として約9億人もいるので、中国の人口ボーナスは依然として存在する」

寧吉喆は国家統計局の局長であると同時に、国務院の中核組織である「国家発展改革委員会」の副主任であり、出生人口が減少しようが、人口ボーナスが消滅していようが、何事もプラスの方向を示すことが職責上必要であったと思われるが、それにしても苦しい答弁であったと言えるのではないだろうか。