大坂なおみと大谷翔平が示す「上向き思考」という新しい可能性

「プラス思考」は間違いだった…?
平野 秀典 プロフィール

2人のニュースターが示す可能性

偽物の「意識高い系」から本物の「意識高い人」になるには、もっと視野を広くし、前も後ろも横も360度広角で見据えながら、自然や人間の摂理に沿って生きる「上向き」という思考の方向性があります。前後でも正負でもなく、文字通り「上」を見据えるメンタルです。

女子プロテニスで今、世界トップに躍り出ようとしている大坂なおみ選手は、サーシャ・ベイジンコーチの指導で、まさに意識と思考を上向きに変えて、一気にトッププレイヤーとなりました。

昨年、肘を故障し二刀流こそ途中で断念したものの、世界中から才能が集まるMLBの競争の世界で、圧倒的な成績で実力を認めさせ、ア・リーグ断トツの得票で新人王に選出された大谷翔平選手は、渡米前に熟読していた本がありました。

 

昭和期の思想家・中村天風(1876-1968年)の『運命を拓く』でした。

そこには、「絶対積極」と呼ばれる上向きの思考法が書かれていました。

さまざまな困難を次々と乗り越えていく2人の新しいスターは、前向きよりもさらに一段上の「上向き」な視点を持ち、自分を客観視しながら感情を統制し、運命を切り拓いていきます。

自分を客観視する視点は、「バードビュー」や「メタ視点」とも呼ばれ、人間の基本的能力の一つですが、2人のトップアスリートには、その才能を磨いて活かす才能が備わっていたのです。

喜劇王チャールズ・チャップリンの次の言葉にも、上向きのメタ視点が表現されています。

人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇だ。

上向き視点&メタ視点を使えるようになると、プラスな出来事もマイナスな出来事もすべて、夢実現の道標として突き進むことができるようになり、もはや成功せずにはいられない人になります。

ギャップというドラマ

そして2人とも、ダイナミックで才能あふれるプレースタイルの反面、チャーミングで謙虚な一面を垣間見せます。それが「ギャップというドラマ」を生み出し、人間的魅力を押し上げていることが共通しています。

上向きな方向性でドラマを生み出す思考法を、筆者は「ドラマ思考」と名付けています。

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ドラマ思考とは、マイナスな出来事も、嫌な人や意地悪な上司も、すべてドラマを盛り上げる重要な要素ととらえ、それやすべてをドラマの途中の「伏線」と見なし、最終のハッピーエンドに「回収」していくための方法論です。

前回寄稿し、50万PVを超えて読まれた記事、「トヨタ『レクサス福岡東』全員接客が起こした奇跡」で紹介した、「購入時の感動が時を経てさらに増す秘訣」や「全員主役」の取り組みは、まさにプラス思考を超えた上向きドラマ思考の実践から生まれたものでした。