黒田総裁にいよいよ試練…「願望」すら示せなくなった日銀の行き先

金融政策決定会合から見えてきたもの
唐鎌 大輔 プロフィール

「次の一手」が緩和は議論の余地無し

展望レポートの下方修正に加え、海外経済を取り巻く環境にもこれほど黄信号が灯っている現状を踏まえれば、金融市場は今後、何かにつけて追加緩和を催促してくるはずだ。

FRBやECBが正常化プロセスを断念する環境で日銀が正常化を追求するのは現実的には不可能であることは言うまでもない。

今さら確認すべき点でもないが、日銀の政策反応関数において最も重要な変数は「物価」ではなく「為替」である。これは黒田日銀に限らず、歴史的にそうだったと言って差し支えない。為替への執着が先進国の中でもとりわけ強いのは日本の特質である。

今後、欧米中銀が正常化プロセスを断念する環境が強まっていけば、当然、欧米金利にも低下圧力が掛かり、元々消滅している円金利との格差は縮小に向かう。内外金利差が縮小すれば投機筋における円買い・外貨売りもコストが下がり機能しやすくなる。2%の物価目標(願望)を半ば諦めた格好になっている以上、日銀の関心事はより為替に向かいやすい状況でもあろう。「次の一手」が緩和に傾斜していることに議論の余地はあるまい。

 

気の早い話だが、目先の注目点として次回4月の展望レポートには注目したい。

というのも、その展望レポートから2021年度見通しも追加されることになるが、恐らくこのままいけば、その時期ですら+2%に届かない可能性がある。その場合、今回反対票を投じた片岡・原田両審議委員は当然、現状維持を善しとしないであろう。

注目は、執行部を割ってでも若田部副総裁が反対票を投じる動きに出るのかどうかである。仮にそうなったからといって大勢(現状維持)に影響が出るとは思えないが、今後金融市場の1つの関心事として浮上してくる可能性は念頭に置いておきたい。