黒田総裁にいよいよ試練…「願望」すら示せなくなった日銀の行き先

金融政策決定会合から見えてきたもの
唐鎌 大輔 プロフィール

「願望」レポート

黒田体制では、展望レポートにおける「予測期間の最も遠い2年後の時点(今回で言えば2020年度)」は通常、予想というより日銀の希望・期待・意気込みが反映されやすく、それゆえに「願望」レポートとも揶揄されてきた経緯がある。

上記図表にも示されるように、黒田体制発足後、「2年後のコアCPI予想」だけに着目すれば、基本的には「+1.8~2.0%」のレンジで推移してきた。

この予想は全く当たってこなかったわけだが、元より2年後の物価予測の精度はおぼつかないのだから、そうした状況が大きく問題視されることもなかったし、恐らくそれは今でも同じだろう。

しかし、2018年7月の展望レポート以降、「2年後のコアCPI予想」はこれで3回連続の下方修正であり、+1.5%を割り込んだのも初めてである。もはや「願望」を提示することも苦しい状況に変わってきたと理解すべきか。だが、今回示された2019年度から2020年度へのジャンプアップ(+0.9%→+1.4%)も実際の所、簡単な話ではないだろう。「今後2年で頑張っても+1.4%」と解釈するのが妥当である。

 

日銀の強がり

一方、日銀は実体経済の評価に関し輸出や鉱工業生産について「増加基調」という判断を据え置いている。

このように図示されるように、輸出も鉱工業生産も、2018年後半は増加基調ではなく「横ばい」の方がしっくりくる状況である。展望レポート自体が全体的に下方修正される中で同表記も変えやすいタイミングだったように思うが、基本シナリオが変わっていないことを強弁するための「強がり」なのだろうか。

それでも2018年初頭と比較すれば輸出も生産も「増加」しているのは事実であるため完全に誤りとは言えない。だが、前年比で明確に減少に転じてきた時、これらの表記も修正を迫られるであろうし、政策変更の余地が市場でも囁かれるだろう。