# 米国経済 # 新興国経済 # 米中貿易戦争

2019年は「新興国株」がいよいよ大復活する!

米国からの「マネー逆戻り」が始まる
大川 智宏 プロフィール

新興国市場、アウトパフォームの兆し

この図表が示すことは、2000年代前半は新興国経済の黎明期で一方的に成長を続けたが、金融危機を境に投機資金の逆流が起こり、2015年前後まで継続した。そして、2016年以降にボトムアウトし、予想ではその後も緩やかに新興国の優位性が継続する予定であったということである。

これはこれで、そういうものだと思っていただければよい。

問題は、次の図表だ。

図表:新興国÷先進国 株式指数、EPS(予想および実績)の推移

拡大画像表示出所:Datastream

こちらもGDPと同様に新興国と先進国の比較(ただしこちらは新興国÷先進国)で、株価と予想および実績のEPSの推移を見たものである。

まず言えることは、図中の3つの線がともに金融危機後の2010年から右肩下がりの推移を見せ、2016年にボトムアウトし、それ以降は緩やかな上昇基調を続けていたことである。この流れは、前述のGDP格差の推移とほぼ同じだ。

問題は、2018年以降の急激な新興国の株価および利益の失速である。無論、この原因は米中貿易戦争だ。つまり、寝耳に水の外生的ショックによって、復活の軌道が吹き飛んだのだ。

しかし、2018年後半以降は、世界的な大混乱相場で先進国株も猛烈に売られ、貿易摩擦のネガティブ要因をある程度織り込んだことで、再び新興国のアウトパフォームの兆しが見え始めている。

 

一連の流れの中で、前掲のOECDの予測と異なる点は、この予測不可能であった貿易摩擦によるパニックだけだ。仮にそれが無ければ、OECDの予測通りに新興国経済および株価、企業収益は緩やかに上昇を続けていたと考えても不思議はない。

つまり、背景として新興国経済および株式が最悪期を脱して緩やかに回復する下地は整いつつある。加えて、冒頭に述べたように、FRBは定期的な利上げ継続を貫くタカ派のスタンスからハト派へと転換し、新興国に追い風が吹き始めている。

もっとも、現在の貿易摩擦の行方は3月まで不透明なため、現時点で過度な期待は禁物だ。しかし、この問題が友好的な解決を見てもハードランディングしても、一旦すべての答えが織り込まれれば、再び新興国の緩やかな優位性が維持される相場へと向かうだろう。事前の心構えと準備が肝要だ。

参考までにこのアイデアに沿った銘柄リストを添付する。抽出方法は、シンプルにTOPIX500構成銘柄のうちで海外売上高比率が高く(50%以上)、かつMSCI新興国指数の動きとの相関係数(週次リターンで過去3年)が高い銘柄を選定した。