「待機児童ゼロ」を最優先した結果、日本の保育は問題だらけになった

片山大介・参議院議員インタビュー
小林 美希 プロフィール

「保育士の人員体制」という重要課題

小林:保育の量ばかりでなく質を考えるうえで、保育士の人員体制は重要な課題です。厚生労働省は財源さえ確保できれば配置基準の引き上げを予定していますが、進んではいません。

片山:良い保育のため何人の保育士が必要かというテーマが隠れてしまっています。

乳幼児教育の無償化は望まれることですが、約8000億円という予算をかけて今、ただちにすべきことなのか。それより先に、預けられる先によって、住む地域によって保育の質に差が出ないようにすることが先決です。そうした保育の環境整備を行ったうえで無償化すべきです。

保育士の配置基準を引き上げるために必要な予算は約1300億円と試算されています。本当に確保できない額なのか。子育てを重視する政権というなら、1300億円の財源を確保すべきです。

 

小林:消費増税による税財源が乳幼児教育の無償化に使われ、地方も費用負担することになります。保育行政が停滞はしないでしょうか。

片山:予算の配分について決着がつきましたが、「そもそも国が言い始めたことなのですから、本来、国が全額をみるべき」という地方の言い分は分かる気がします。地方は増税分で独自の事業計画を立てていたはずだから。

無償化にしても、外国人労働者の受け入れ拡大にしても、官邸主導でそれありきで物事が進み、制度設計する側の役人が苦労する。タイムリミットが決められてしまって、そのなかでやるとなるとどうしても制度の不備が多くなる。

官邸主導で不備があるまま突っ込んでいく手法が目立ってきている気がします。政治はもっといろんな意見を聞きながら妥協点を探るべき。

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小林:大きな議論なく進んできた「委託費の弾力運用」の緩和について、今こそ、政治の場で改めて問い直さなければなりませんね。

片山:少なくとも、人件費の部分については弾力運用に縛りをかけるべきです。賃金の大元が担保されれば、処遇は大きく改善されます。保育は“儲けよう”と思っても本来、成り立たちません。

そして、保育士に余裕がなければ、良い保育をすることは難しくなり、一番のしわ寄せは子どもにきてしまう。保育士の処遇改善と同時に配置人員の引き上げも行うべきです。子どもたちが質の良くない保育を受け続けたら、どんな社会になるのか。考えてみてほしい。

弾力運用の仕組みまで知る人は少ないけれど、世論が起これば政治は動きます。そのためにも、この問題について言い続けたいと思います。