「消臭力」を女子トイレに持ち運ばせる“感覚的消臭法”って何だ?

エステーに訊く「商品開発」の極意
リケラボ プロフィール

容器を細くしたことによって面積が小さくなり、表示を入れる箇所を決めるのが難しかったです。

また、見た目が「マウススプレーに似ている」という声があり、誤使用を防ぐために注意書きの内容にも気をつけています。ひと目見てわかるように、イラストでも表現しました。

子ども向け商品につける注意書きにはルールがあるのですが、今回のような日用品には表示ルールが意外とないんです。いかにわかりやすい表示にするか、試行錯誤を重ねました。

消臭力「口に入れてはいけない」ことがひと目見てわかるようになっている

相性の良い香りに取り込んで嫌なニオイを消臭

──ところで消臭とは、科学的にはどのような仕組みなのですか?

今回の“気くばり女子のトイレミスト”では、良い香りによって嫌なニオイを消臭する“感覚的消臭法”の中の、“ペアリング消臭”を活用しています。

感覚的消臭

これは、悪臭を良い香りの一部として取り込んで、嫌なニオイを良い香りにする方法です。

じつは、「トイレのニオイのもととなる便臭も、薄めるとすごくいい匂いに感じる」ということが科学的にわかっています。相性の良い香りとうまく組み合わせることによって、気になるニオイを消臭できるのです。

香りのチェックをしているところ香りのチェックをしているところ。科学的な測定によって数値もチェックするが、実際に人間の鼻でどう感じるのか、効果実感をとても大切にしているとのこと。今回は、最終的に5種類ほどの香りのなかから1つが選ばれた。社内で試作品を配ったり、モニターアンケートを実施したり、たくさんの人によって香りが確かめられた

ほかにも消臭力シリーズでは、酸性とアルカリ性の中和反応などを利用した“化学的消臭法”や、炭などの細かい穴に悪臭成分を取り込んで消臭する“物理的消臭法”、悪臭のもとになる雑菌の繁殖を防いで消臭する“生物的消臭法”が活用されていて、使う場所やシーン、対象となるニオイによって、消臭方法が変わってきます。

たとえば、冷蔵庫内で使う『脱臭炭』は食品の近くで使うものなので、化学的なものが含まれておらず、無臭のため食べ物に香りが移る心配がない“物理的消臭法”を活用。

『消臭力 トイレ用 クエン酸プラス』という商品では、クエン酸を使った“化学的消臭法”と、ろ紙に配合した『ナノパウダー』による“物理的消臭法”を組み合わせることで消臭のパワーをアップさせています。

お部屋用の『消臭力』の多くも、良い香りのする“感覚的消臭法”と、『ナノパウダー』による“物理的消臭法”を組み合わせています。

消臭法化学的消臭法(左)と物理的消臭法

少人数で速く、密度の濃い商品開発

──今回の製品はどれくらいの期間で開発されたのですか? また、何人ほどの方が開発に携わったのでしょうか?

開発期間は約1年間で、10名前後が携わりました。成分の処方を決める研究開発者、パッケージデザイナー、プロダクトデザイナー、マーケター、材料の仕入れ担当者、製造担当者、コピーライター、そして商品開発者……といったように、それぞれの担当が集まってつくりあげています。

──もっと細かく役割を分担して多くの人が携わっているとイメージしていたので、意外と少なくて驚きました。

そうなんです。人数が少ないからこそ、顔の見える人たちと納得いくまで話ができるので、大変なことがありながらも日々楽しく開発できています。

──中野さんが担当されているのはどんなことなのですか?

私は、全体を見て調整をする進行役です。それぞれの担当者や上司と連絡や話し合いを重ねて、開発を進めていきます。

──開発の“司令塔”ともいえるわけですね。ひとつの商品ができあがるまでの工程を教えていただけますか?