1970年代テレビドラマ「いまじゃ考えられない」驚きのシーン

日本のおふくろ、本物の刑事がいた
週刊現代 プロフィール

'70年代に学生時代を過ごした人なら、誰もが青春ドラマの洗礼を受けた。前出の泉氏が言う。

「なんとなく大学に行ってはいたけれど、ときには雀荘に行って時間を潰す。学生運動が衰退した'70年代中頃のノンポリ学生ムードが、『俺たちの旅』には上手く描かれていました。

主な登場人物は中村雅俊、秋野太作、田中健の3人組と女子学生役だった金沢碧。この頃は『モラトリアム』という言葉が流行していた時期。

中村雅俊が演じるカースケは就職も恋愛もなかなか答えを出せない。やさしいモラトリアム世代の若者を巧みに演じていました」

 

『前略おふくろ様』も若者たちにとってバイブルとも言える作品だった。

ショーケンが演じる主人公・三郎は、山形から集団就職で上京し、深川の料亭で働く。彼を中心に描かれる青春ドラマだ。

「上京する若者が増えていた時代、自分と重ね合わせていた視聴者が多かった。見ていて印象的だったのは、三郎の師匠である梅宮辰夫さんとの関係ですね。男が師匠を持つことの幸せが伝わってくるんですよ。

三郎が女将さんから口止めされていても、師匠に伝えたいことがあって、ポロッと言ってしまう。そうしたら、梅宮さんが『女将さんから言うなと言われて、お前は「はい」と答えたんだよな。

男が一度言わないと約束したら、たとえ相手が俺であっても、お前はそれを言っちゃいけない』って怒る。そのときのショーケンの顔が、いい。男としての生き方を教えてくれたドラマです」(前出・碓井氏)

前出の藤井氏も同作についてこう語る。

「海ちゃん役の桃井かおりさんが方言でコーヒーを注文するシーンがあり、『コーシー』と言うんですね。山形弁を使った『語り』のシーンも圧倒的だった。

やはり方言でないと、上京してきた人の人間性を表現できない。そういう考えが根底にあったのだと思います」

最終回、三郎は恋心をいだいていた同じ店で働く仲居・かすみ(坂口良子)と結ばれず、「前略おふくろ様。やっぱり俺は一緒にはなれません」と独白する。これに視聴者は涙した。