1970年代テレビドラマ「いまじゃ考えられない」驚きのシーン

日本のおふくろ、本物の刑事がいた
週刊現代 プロフィール

裕次郎が「最後の名演」

'70年代は刑事ドラマが大ブームとなった時代でもある。なかでも『太陽にほえろ!』は斬新だった。同ドラマを担当した元日本テレビプロデューサー・岡田晋吉氏が語る。

「それまでの刑事ドラマは、なぜ犯人が犯罪を起こしたかに焦点を当てた作品が多かった。ですが、この作品は若い刑事が成長していく物語。まったく新しい考え方でした」

『太陽にほえろ!』と言えば、殉職シーンが名物。

「かあちゃん、あついなあ……」マカロニこと萩原健一が立ちション中にチンピラに刺されるシーンや、

「なんじゃこりゃあ!」とジーパンこと松田優作が落命するシーンの名セリフは完全なアドリブだからこそ、心に残った。

前出の岡田氏が名場面として挙げるのは、もはや伝説となっている、最終回の裕次郎の芝居。容疑者の妹から兄の居場所を聞き出すために自ら取り調べを行い、ボスは7分前後も独り語りする。

「裕次郎さんから『このシーンは自由にやりたい』という要望があったんです。僕らは裕次郎さんががんを患っていて、先が長くないことを知っていました。若い刑事が犯人に監禁されており、『部下の命は俺の命』『命ってのは、ほんとに尊いもんだよね』と、ボスは容疑者の妹に語りかけます。

でもどこか、自分自身がもっと生きたいと叫んでいるような言葉だった。役柄と現実の運命が重なる、本当に凄いセリフでした」

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'70年代の刑事ドラマの名作は数知れず。個性的な刑事が次々と誕生した。ドラマに詳しいライターの田中稲氏が語る。

『Gメン'75』のボスを演じた丹波哲郎はセリフが棒読みに聞こえるのですが、それがかえってニヒルに感じられましたね。

この人は生まれながらに格が違う、と思わせるのが丹波さんの魅力で、彼がいるからこそ独特の世界観ができあがったと思います。

最終回の丹波さんのセリフ、『誤認逮捕であれば潔く責任を取ろうじゃないか』は当たり前なのですが、彼が言うと名言に聞こえました。

 

『非情のライセンス』の天知茂は、ちょっと鼻にかかった低い声が本当に素晴らしく、予告編の語りを聴くだけでゾクゾクしました。眉間の皺、そしてパリッとしたスーツ、ぴっちり整えられた髪。劇画から飛び出したようなスタイルでしたね。

その一方、作中では戦争の傷の深さを感じさせるエピソードが多く、決して絵空事ではない現実感がありました。

『特捜最前線』で、特命課の神代課長を演じるのが、ダンディな二谷英明。『俺たちが相手にしているのは人間なんだ。汚いことも許されないことも、人間だからできるんだ』と新米刑事を諭す一方で、部下に頻繁に言い返されたりする親しみやすさもあった。

それが、石原裕次郎や丹波哲郎と違うところで、刑事同士の人間模様がドラマの生々しさにつながっていました」