「夫婦の愛」を皆が恨み始めた…ドラマで振り返る2018年の日本

そして、2019年期待のドラマ
堀井 憲一郎 プロフィール

『高嶺の花』の〈噛み合わせ〉

もちろん恋愛ドラマもあった。

印象に残ったのは戸田恵梨香&ムロツヨシの『大恋愛』、有村架純&岡田健史の『中学聖日記』、石原さとみ&峯田和信の『高嶺の花』、杉咲花&平野紫耀の『花のち晴れ』、そして田中圭&吉田鋼太郎&林遣都の『おっさんずラブ』である。

『大恋愛』は、恋愛ものであり、かつ、難病ものであった。彼女が病いに冒されていくのを一緒に見つめていくという、吉永小百合&浜田光夫のむかしからのお馴染みの型であるが、定番でどこが悪いといわんばかりに、しっかり心を掴まれた。彼女の病気は骨肉腫でも白血病でもなく「若年性アルツハイマー」だった。記憶がなくなっていく。

最後は一緒にいるのが誰かもわからない。巷間の紅涙が絞られる、というところだが、これはやはり恋愛ものというよりは難病もの(不治の病もの)に恋愛が加味されていると見たほうがいいだろう。とても心動かされたドラマだった。

私は個人的にとても好きだった恋愛ドラマは石原さとみと峯田和信の『高嶺の花』で、いわば和風の“美女と野獣”を目指したドラマだったとおもうけれど、ちょっと噛み合わせが良くなかった。組み合わせではなく噛み合わせがよくない、という印象である。

〔PHOTO〕Gettyimages

プーさんとあだ名された峯田の役は、その純朴さ(野獣的な要素)を保ちつづけることによって“高嶺の花であるお姫さま”を改心させていく立場で貫かれたほうがよかったとおもうのだけれど、プーさん自身がかなり揺らいでしまって、そのぶんドラマの「あざとさ」が軽減してしまったのが残念だった。

新しい才能が開花する『花のち晴れ』

有村架純の『中学聖日記』は、おもったほどの視聴率が取れなかったみたいだけれど、でも、2018年ドラマのなかでは、ほぼ唯一といっていいくらいの「きちんとした恋愛ドラマ」だったとおもう。ストレートで王道の恋愛ドラマは、つまり、2018年的な土壌からはあまり強く支持されない、ということでもあるのだろう。

身分違いの恋で始まり、試練を経て、最後は二人一緒になって幸せに暮らしましたとさ、という王道中の王道のドラマだった。あとからおもいだすと、とてもいいドラマだったんじゃないか、と強くおもう。あとからだけどねえ。有村架純だから成り立ったドラマでもある。相手役を新人(岡田健史)が演じていたこともあって、有村架純の存在感が増すことになった。

 

『花のち晴れ』は「学園恋愛ドラマ」としてお決まりのドラマであった。最初から喧嘩しっぱなしの男と女が、最後には自分たちのおもいに気づいて一緒になるという、少女マンガ世界の王道である。いじめっこが出現して、それが一転して仲良くなる、などの決まりごとどおりに展開しつづけるので、途中すこしダレてしまったが、でも終わると、それなりにきちんとまとまったドラマだったとおもえる。

これもまた「あとから、あれは良かったな」とおもえるタイプのドラマだった。

見返したら、また途中でかなり中だるみを感じてしまうだろうけれど。こういう学園ドラマは、才能ある若い役者がたくさん集められることが多く、そこもまた楽しみなドラマだった。このドラマで、この子、誰なんだろうと気になった子は、そのあと必ず別のドラマに出てきて、そのたびに『花のち晴れ』をおもいだしてしまう。