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丹羽宇一郎が説く、ビジネスにおける「最初の一歩」のススメ

その「一歩」が、あなたの世界を変える

ぬるま湯の社会に、成長は生まれない

『仕事と心の流儀』で私が一番言いたいのは、「日本人よ、一歩前へ踏み出せ」ということです。

総じて、今の日本人には元気がありません。自分がいる限られた狭い仲間社会の中で、隣近所のことばかり気にしながら生活し、日本という国の将来については、ほとんど無関心。

「自分一人が意見を言ったところで、何も変わりゃしない」と絶望感に捉われ、投げやりになっているように見えます。

 

これは、個人の意思より村の掟が優先され、掟に背けば村八分にされた江戸時代の五人組や、第二次世界大戦中の隣組に象徴される「ムラ社会」の残滓が、今も日本人の心の中にあるからでしょう。

「自分や自分が属する共同体が安泰なら、それでよい」という自己中心的な考え方に無意識のうちに陥っている、とも言えます。

仕事に関しても同じです。リスクを取ってでも新しいビジネスに挑戦しようという情熱と行動力のある社員は、どの会社でも減っているように思います。

多くの人は、十年一日のごとく家と会社を往復し、上司に命じられたことをするだけ。自ら行動を起こそうとはせず、ぬるま湯のような仕事をしながら、会社の同期の中で給料の額や出世の早さを競い合う「ドングリの背比べ」をしています。

しかし、そうした緊張感のない毎日に感動や感激はありません。仕事への自負心も生まれないし、人間としての成長もありません。

今のぬるま湯から一歩踏み出し、想像力を駆使して大きな仕事を考え、緊張感を持って挑戦すれば、心にいつまでも残る大きな喜びや、涙が出るほどの感動や感激を味わうことができ、人間として一回りも二回りも成長していくことができるのです。

働いているすべての方々に、そうした感動や感激を味わってほしい、自分が成長している実感を持ってほしい、との思いで、私は本書を執筆しました。