いよいよ試験導入されるJリーグの「VAR」について思うこと

肯定的に捉えたい、その一方で

GOサインが出た背景

Jリーグが今季からVAR(ビデオアシスタントレフェリー)を試験導入する方向だという。その対象はYBCルヴァンカップ(決勝トーナメント以降)、J1参入プレーオフ(決定戦のみ)である。

試合の“高速化”が進み、審判団が広大なピッチにおいて対応が難しくなってきている時代。欧州リーグではドイツ、イタリアが試験導入に踏み切って、今季からはスペイン、フランスでもスタートしている。英プレミアリーグも来季(2019-2020)導入で合意に近づいているという。アジアのリーグを含めて世界的に広がりを見せている。

Jリーグでは昨年、講習会や実戦トレーニングを重ねて、夏に開催されたユース年代のSBSカップでトライアルを実施するなど段階的に準備を進めてきた。特に大きな問題はなかったため、試験導入のGOサインが出たということだろう。

 

あらためてVARを簡単に説明すれば、ビデオ審判がモニターの映像で判定をチェックする審判補助システムである。(1)ゴール(2)PK判定(3)一発退場(4)選手誤認という4つの事象にのみ、ピッチにいる主審、副審に助言できる。ただ、あくまでも「補助」であって、VARが最終的な判断を下すわけではない。その権限は主審のみにある。

いまだにVAR導入について「時間が止まる」「コンタクトプレーの判定が厳しい」などとサッカーの本来の魅力が損なわれるという反対意見は根強く残る。しかしながら昨夏のロシアワールドカップでは、ミスジャッジが減ったことを肯定的に捉える声のほうが大きかったように感じる。

ロシアワールドカップでの印象的なシーンと言えば、ブラジル代表のネイマールに対するPK判定が取り消されたグループリーグのブラジル―コスタリカ戦が頭に浮かぶ。

ネイマールがペナルティーエリア内で切り返したところで相手との接触で倒れて一度はPKと判定されたのだが、VARの指摘を受けて主審はビデオモニターで確認することを選択。接触はあっても、ファウルに相当しないと判断されたのだ。

言葉は悪いが「演技は通用しない」と通告されたようなもの。VARが大会全体を通してシミュレーションの抑止力になったことは間違いない。

VAR導入の影響もあってPKが大会最多(29回)になったものの、問題らしい問題は起こらなかった。

現在、UAEで開催中のアジアカップでも準々決勝から用いられている。グループリーグの日本―オマーン戦でもし採用されていたらシュートブロックした際に長友佑都の手が当たっていたシーンはハンドと判定されていても不思議ではない。VARが「神の手」を見逃すことはないのだから。

ただ、初めて使用された24日の日本―ベトナム戦。前半には吉田麻也のヘディング弾がVARによって取り消され、逆に後半には堂安律がペナルティーエリア内で倒されたプレーがVARによってPKと判断された。2つのプレーともVARが介入しなければならない事象だったかどうか、また、堂安のプレーから2分近く経ってから確認したことなど、運用面に課題も挙がっている。