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フランスで活躍する日本人シェフたちの「客が知らない裏側」

超長時間労働で給与は◯◯円

1月21日、「ミシュランガイド」の2019年フランス版が発表された。10名に及ぶ日本人シェフが新しく星を獲得した。ここ数年、日本出身の料理人がフランスのレストランで活躍し、ニューヨークタイムズなどの欧米メディアもその現象を報じている(1)

日本のメディアも、日本出身の料理人の活躍を伝えている。昨年11月には、NHKがパリの3つ星レストランで働く安發(あわ)伸太郎さんを主役とし、ドキュメンタリー番組を放送した(BS1スペシャル「フランス料理に新風を~若き日本人シェフ創作の極意とは~」)。

 

高級レストランは夢を売る場所だ。だが、筆者がフランスでの経験がある料理人数十人にインタビュー調査をしたところ、低賃金で超長時間労働をしたという話が多く聞かれた。

夢をつかもうとする料理人たちの光と影――日本人料理人たちは、どのような働き方をしているのだろうか。

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渡辺直美、本田圭佑とCM共演

安發伸太郎さんは宇都宮市出身の32歳。18歳で渡仏した。現在は3つ星レストラン「エピキュール」で、有名シェフであるエリック・フレションの下、厨房スタッフ約60人を束ねる副料理長として働いている。

安發さんの経歴は華麗だ。

2016年には、国際コンクール「サンペレグリノ・ヤングシェフ2016」のフランス大会で優勝し、なんと日本出身ながら「フランス代表」に選出された。

2017年には花王アタックのCMに出演。渡辺直美、本田圭佑と「30歳の挑戦」というCMで共演していたのを見かけた人もいるだろう。

左が安發さん(サンペレグリノ・ヤングシェフ2016にて)

そして2018年、フランス料理界で最も卓越した技術を持つと認められる料理人を選ぶMOF試験に挑み、NHKが安發さんの姿を追った。

そんな安發さんの毎日は、地道な長時間労働の繰り返しだ。朝8時に仕事が始まる。商品のチェックをし、肉・魚・前菜などの各部門のスタッフを管理し、できた料理の味を確認する。スタッフは主にフランス人。フランス語で指示を出している。帰宅するのは深夜だ。

「料理人をやっていて、本当に料理が好きなのかは重要です。この仕事、労働時間も長いし大変なので、本当に好きじゃなければできません。仕事として見ているとなかなか難しいですね。私の場合はもう趣味です」

安發さんはメニューの開発も行っていて、素材のリサーチを欠かさない。厨房や家の台所で、素材に最適な調理法を考え、試作をする。レシピを研究するため図書館や古本屋に通い、フランス語で書かれた古書を読む。これらの作業は、ただ美味しい料理をつくるためにやっているという。