足立区の治安を劇的に良くした「愛錠ロック大作戦」とは何か?

まちを変えた「究極のお節介」
池田 利道 プロフィール

「お節介パワー」で孤立ゼロへ

その第1弾が、お節介パワーのフル稼働による「孤立ゼロ」への挑戦。

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高齢者の孤独死はもとより、犯罪も自殺も虐待も子どもの貧困もひきこもりも、そのすべての背景には社会的孤立がある。地域の絆を糸口にこの状況を打ち破ろうと、足立区が「孤立ゼロプロジェクト推進に関する条例」を制定したのは2012年のこと。

まちの中には孤立のタネがたくさんあるが、それらの中から最初の「ゼロ」を目指したのは、介護保険サービスを利用していない70歳以上のひとり暮らしと75歳以上だけの高齢者世帯だった。

「日常の生活において、世帯以外の人と10分程度の会話をする頻度が週に1回未満、もしくは日常の困りごとの相談相手がいない」。「孤立状態」の定義をこう定めた足立区は、町会・自治会が中心になってお年寄りの自宅を訪問し、世間話をする頻度や困りごとの相談相手の有無の調査を始める。

そしてその結果、孤立の恐れがあるとなると、より細かな支援の実施へとつなげていくこととした。

 

2018年5月末現在で、区内約440の町会・自治会のすべてが1回目の調査を終え、継続して2回目以降の調査を行っているところも半数を超える。日常的な挨拶や声掛け、訪問、さらには居場所づくりを目指す「わがまちの孤立ゼロプロジェクト」に取り組む団体も50を超えた。

孤立ゼロをまちに根づかせるために、足立区が目標としているのは、「絆のあんしんネットワーク」と名づけた社会の仕組みの再編にある。皆が少しずつ力を出し合って、無理のない範囲で支え合いを生み出していく「お互いさまのまち」。気づきと寄り添いがその柱となる。

気づきを担うのがまちに住むひとりひとりの人たちなら、寄り添いを担うのが「絆のあんしん協力員」と呼ばれるボランティア。その数は1000人を超える。商店街、銭湯、郵便局、新聞配達店など「絆のあんしん協力機関」も拡大中だ。

洗たく物が出しっぱなし。昼も電気がついたまま。庭の手入れができていない。郵便物がたまっている。そんな小さなシグナルを、お節介のまちは見逃さない。