〔PHOTO〕gettyimages

カルロス・ゴーンという「黒船」がこじ開けた、裁判所の閉鎖性

事件を機に、自立の時期を迎えた…?

裁判所が「自立の時期」を迎えた…?

カルロス・ゴーン被告は、やはりタダ者ではない。日本の常識を覆し、知力の限りを尽くして検察に戦いを挑み、裁判所に意義を突きつける。その結果、山は動いた――。

現在、小菅の東京拘置所に、ゴーン被告を除いて、特捜部が手掛けた「特捜案件」の被告はいない。リニア談合の被告も、文部科学省事件の被告も、昨年末から今年にかけて、否認のまま保釈した。

それは、12月20日、検察が求めたゴーン被告の勾留延長を却下する際、「海外要人だから特別扱いした」という批判を受けないようにするための“布石”ではあった。ただ、裁判所が「自立の時期」を迎えていたのも確かである。

まだ、途中経過に過ぎないが、ゴーン事件の衝撃を検証したい。

 

敗戦直後、地検特捜部は、陸海軍の物資を巡る事件を手掛ける「隠退蔵物資事件捜査部」としてスタートした。以降、70年、特捜部が国家秩序を意識し、国策として取り組む特捜案件の場合、裁判所は検察のいうままに勾留を認め、有罪判決を下してきた。

なかでも否認を続ける被告は「国家への反逆」とみなし、拘置所に留め置いた。悪名高い「人質司法」である。それだけに、ゴーン被告の勾留延長却下は、前代未聞であり、検察にとって衝撃だった。

東京地裁は、11月19日のゴーン被告の最初の逮捕が、5年分の有価証券報告書への報酬の不記載で、12月10日の再逮捕が、以降3年分の不記載で、それだけに「事業年度の連続する一連の事案と判断した」と、却下理由を説明した。

12月20日までに勾留期間が30日を経過、不記載という形式犯で、そんなに長く勾留する必要はないという意思表示だった。裁判所が判断理由を説明するのは前代未聞。検察から距離を置いて見せた。

この決定を受けた記者会見で久木元伸・東京地検次席検事は、過去に例があるかないかを問われ、「調べてみないとわからないが、調べようもない…」と、うろたえた。
特捜部が「政官財の監視役」となり、裁判所がそれを支えるという予定調和の世界が崩れた。

この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。
現代ビジネスプレミアム会員になれば、
過去の記事がすべて読み放題!
無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中
すでに会員の方はこちら