発達障害の人も挫折しない「片づけ」、 必要なのは3ステップだけ!

当事者ならではの"片づけスキル"
からだとこころ編集部 プロフィール

「片づける必要」さえ理解できなかった

ところが、村上さん、始めから片づけができていたわけではないといいます。いまでは、発達問題の相談者のみならず、多くの方から片づけのアドバイスを乞われる村上さんですが、むしろ、片づけが大の苦手で、自称「片づける必要性を感じていない女」だったといいます。

一般に常識だと言われていることがピンときていなかったため、「生活をしていくうえで片づけが必要不可欠」ということにも、まったく気づいていなかったのです。

むしろ、ものを片づけるためにわざわざ時間を作るなんてもったいない、すぐに使うものなのにいちいちしまうなんて無意味なことだ、と考えていました。

散らかっていても記憶を頼りに探していけば必要なものを探すことができたという成功体験(?)も仇になっていたようです。

【イラスト(マンガ)】昔は片づけられない女だった?!以前は「片づけられない女」だった?!

アスペルガー症候群の特性としては、自分の興味あること、好きなことはとことん突き詰める一方、一般的に常識とされることがピンと来ない場合がある、ということがあげられます。村上さんは「生活していくうえで片づけが必要不可欠」ということにもまったく気づいていなかったそうです。

しかし、ある日のこと、村上さんが職場を散らかしたことで、他のスタッフが困る事態となり、注意を受けてしまいました。このとき、「他人の迷惑になるのは何とかせねば」と、意識に変化が生じてきたそうです。そこから、村上さんのとことん突き詰める片づけ探求がはじまったのでした。

【写真』目覚めるととことん突き詰めた
  片づけに目覚めるととことん突き詰めた photo by iStock

発達障害の家族も守れるルールを作る

家族がいる場合は、家族に配慮した片づけのルールである必要がある、と村上さんはいいます。家族の誰かにとって難しいルールでは、守られずに崩壊してしまうからだ、ということです。村上さんのルールは、ご家族の方にも理解されやすかったのでしょうか?

わが家は、ASDに加えてADHD(注意欠如・多動性障害)やLD(読み書きの学習障害)の傾向のある夫との二人暮らしです。片づいた状態を維持するには、彼にとって片づけやすいことも重要ですから、夫の行動をよく観察し、私の場合と同様に分析してみました。

ADHDは、「身のまわりのものを管理できない」「忘れものが多い」という傾向があるといわれます。

彼は話し合ってもののしまい場所やしまい方を決めても、なかなか覚えてくれず、しばらくの間は忘れてしまうということがしょっちゅうでした。一方、いったんしまい場所やしまい方が定着するとルール変更が難しいようで、話し合ってしまい場所を変えたあとでも、それを忘れて以前の場所に戻してしまうことがありました。

また、扉があると中に何が入っているのかがわからなくなってしまううえに、扉を開けて探してもなかなか見つけられないという特徴もありました。扉の中にストックがあっても探し出せず、新しいものを買ってきてしまったりするのです。

なかなか、手強そうです。旦那さんに片づけを理解させるのは至難の業だったのではないでしょうか?

ところが、旦那さんが片づけられない問題と、その理由を振り返ってみると、意外に解決は難しくなかったようです。

つまり、「しまい方が少し複雑になると覚えにくい」という問題を解決するために〈入れ方を決める〉際には出し入れの動作が単純になるようにする、「見えないものを想像して探すのが苦手」という問題を解決するため〈場所を決める〉ときに入っているものがひと目で確認できるようにしまうにラベルを貼る、という工夫をしました。そして、その工夫はかなり成功を収めたそうです。

生まれながらの特性として片づけられない、ということだけを見ると、解決はとても難しく思えますが、起こっている問題からたどっていくと、すんなりと解決法が導きだせます。発達障害の人にもわかりやすく、実行しやすい「しくみ」だということがよくわかります。

【マンガ】夫はADHD
  村上さん"夫"の場合 片づけの「しくみ」は、ADHD傾向の旦那さんにもわかりやすく マンガの拡大画像、前半はこちら後半はこちら