ZOZO前澤社長「100万円バラまき」に感じるモヤモヤの正体

「きれいでただしい」者だけ救われる?
御田寺 圭 プロフィール

私たちがなんとなく抱いている前澤氏への反感は、厳密には「金持ちが金でフォロワーを買うことの卑しさ」からくる嫉妬心ではないだろう。

その正体は、「金持ちをはじめとする社会階層の上位者たちが、表面的には『ただしく』『きれい』に見える使い道に金を使い、それによってたんに金を使うことによって得られる以上のリターンを得ている」こと、そして、それに対する異議申し立てはまたしても「正論」によって言いくるめられること――に対する「憎しみ」に近いのではないだろうか。

 

断絶から反動へ

こうした「見かけ上はフェアだけど、実際はエリート(あるいはエリートが気に入った人)が圧倒的に得をする」という現状は、いま日本だけでなく、とりわけ先進各国の(資本主義)社会において分断や憎悪を招きつつある。「自由参加、自由応募、自由競争」「政治的ただしさ」の美名の陰で鬱積した、歪みや憎悪が噴出しようとしている。

その本質は、たんなる「富の偏在」を糾す戦いではない。富はもちろん、一部の人がいつしか独占するようになった、キラキラと輝く尊い「ただしさ」を奪還する戦いの様相を見せはじめている。金持ちが唱える「自由」「正論」「自己責任」のただしさを剥ぎとる戦いが、いま世界各地で起きている。

前澤氏の「お年玉1億円キャンペーン」は、前澤氏本人にはまったくそんな意図はなかったかもしれないが、まさしく現代社会における分断構造――金持ちと有能な人びとが、金だけではなく、「ただしさ」も、そして「きれいさ」も独占する構図――のミニチュアモデルであるような気が、私にはしたのだ。

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