もちろん中には働く妻を尊重し、新しいバランスを模索する人もいる。だがそんな彼らを、日本社会はまだまだ異質なものと見る。家族のために行動することで、社会人失格だとなじられる。

女性活躍、女性が輝く社会、男性も家庭に進出しましょうと、立派な看板が立っているにもかかわらず。そこで彼らは戸惑い、失望しなかっただろうか。作り上げて来た自分と、生きなければいけない現実の乖離を感じなかっただろうか。「騙された」と。

そこまで考えて、私はいたく悲しい気持ちになった。女として、私は社会に騙されたと思っていた。男性優位社会で、女だけが生きにくさを強いられているのだと。しかし蓋を開けて見れば、騙されたのは男も一緒。今の日本社会は、男女それぞれにとって、生きにくい場所なのだ。

それは各種の数字データや現象にも表れている。高い未婚率と、過去最少を更新し続ける年間出生数。親世代より低い年収に非正規雇用率の高さ。待機児童問題は依然改善せず、ワンオペ育児の言葉は流行を超えて定着してしまった。前述のグローバルジェンダーギャップ指数で、日本は149カ国中110位。2017年、日本の自殺の7割は男性で、しかも一番多いのは40代だという。

男と女が、連携できる社会のヒント

生まれ育った日本社会が、男女にとって生きにくい場所になっている。その認識を持ち、改めてフランスを見ると、男も女も日本よりずっと、生きるのが辛くなさそうだ。高い失業率や重い税負担、階級差の固定など暗い世相は確かにあるけれど、それらは男女の性差に由来しない。

そしてこの状況は偶然の賜物ではない。男女が互いの違いを認め合い、連携して、より生きやすい社会とする工夫や努力を行なっているのだ。家庭から職場、教育現場、政治の舞台に至るまで、あらゆる場所で事細かに。ジェンダーギャップ指数ランク12位は、伊達ではない。

それらの工夫や努力をつぶさに見ていくと、日本にも、ヒントになりそうなものがある。それを伝えていけないだろうかと、私は願うようになった。愛する母国の日本が、男にも女にも、より生きやすい社会になるために。

そんなことを折に触れ話していたら、現代ビジネスが連載の機会を与えてくれることとなった。テーマは、男性と女性がいがみ合わず、より「マシ」な生活を目指して、手を取り合える社会の築き方――言ってみれば「男女連携社会の作り方」だ。第1回では男女の最も大きな違い、妊娠出産を取り扱う。

歴史も文化も異なる国を並べ、先進事例のコピペを促すことには意味がない。が、「他山の石」のことわざ通り、知ることで少しでも、日本のプラスになることがあるのではないか。読む人の発想の転換や、思考を深めるネタになれればーーそう願いつつ、書いて行きたいと思う。