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アナウンサーのいじめと元官僚の拒絶で知った「プレゼン」の極意

一方通行では伝わらない

きみはクビだ! と切られた失敗談

現在、私はアメリカで、プロフェッショナルスピーカーをしています。

「プロフェッショナルスピーカー」とは、ビジネスを中心とした公の場で、あるトピックの専門家として、講演や研修などを行う人のことです。

しかもアメリカでも5万人ほどいるといわれるスピーカーの中で、3500人のみが所属する先鋭集団の、全米スピーカー協会プロフェショナルメンバーにも認定されています。

そういうと、英語でアメリカ人相手にスピーチをして伝えられるなんて、すごい!と思われるかもしれません。ですが、私がいまプロのスピーカーとしていられるのは「英語力がすごい」からではありません。日本語でも英語でも、「伝える」ということには技術(メソッド)が必要で、そしてその技術があれば思っていることがきちんと伝えられるのです。

「伝える」ためには語学力がいちばん大切なことでないということは、「純日本カルチャーで育った私がNYでスピーチ優勝者になれた理由」という記事で詳しくお伝えしています。

「純日本カルチャーで育った私がNYでスピーチ優勝者になった理由」の記事

今回は、コミュニケーションでの大失敗から何を学んで「伝えること」を仕事にしたのか、そしてその失敗から学んだ「伝わる話し方」のポイントをお話しさせていただきます。

 

「あんた、何様だと思ってるんだ!」

恥ずかしながら打ちあけると、わたしがかつて経験した大失敗は、日本人同士でのコミュニケーションでした。

MBAを出てマッキンゼーで経験を積み、コンサル業で独立したばかりの頃でした。ある日本の会社と仕事することになりました。理事長はかつて某省庁にいらした方で、経済界に太い人脈を築いていました。リタイア後にその企業の理事長に就任され、アメリカに進出するにあたって練った海外戦略が通用するか、コンサルティングして欲しいと依頼してきたのです。

戦略をチェックしてみると、理事長の国内の人脈に頼りすぎるなどさまざまな欠陥が見受けられ、アメリカではうまくいかないと分析できました。このままだとアメリカではうまくいかない理由を挙げ、新たな戦略案をまとめ、理事長はじめ、関係者全員に理路整然とプレゼンのメールをいれました。この戦略なら成功する。自信に満ちたプレゼンでした。

翌日、理事長からメールが来ました。「電話を下さい」という六文字だけ書いてあります。嫌な予感がしながら電話をしてみると、

「あんた、何様だと思っているんだ」

と怒鳴りつけられました。

私はコンサルとして依頼された仕事を遂行したつもりだったのですが、さんざん罵られて、きみはクビだとお払い箱にされてしまったのです。