〔PHOTO〕iStock

ピーチ・ジョンの「媚薬騒動」がはらむ「こっそり」以外の問題点

ポエム化するサプリに気を付けて
女性用下着等を販売するピーチ・ジョンが、同社が販売する「ラブサプリ」の商品説明および広告表現について批判を受けた一件。サプリを「こっそり」飲ませることを推奨する文言が問題視されたが、問題は別のところにもあることを、薬機法・景表法の案件を多く取り扱う弁護士の野島梨恵氏が指摘する。

ピーチ・ジョンが「情熱的な感情を呼び起こす男女兼用のラブサプリ」として販売していた「LOVE POTION(ラブポーション)」という健康食品。その広告が、世論からの批判を受け、販売中止に追い込まれた。

ビーチ・ジョンの公式サイトより(現在は削除されている)

発端は、ピーチ・ジョンが自社のウェブサイトやツイッター上において、「LOVE POTIONのLesson.1 こっそり飲ませる お料理やお菓子に混ぜてこっそり色仕掛け 気づく? 気づかない? の駆け引きも楽しめそう」などと記載し、思いを寄せる相手に同意なく飲ませることを推奨するかのような書き方をしたことにある。

ネット上には、「アレルギーがあったら命にかかわる」「絶対にやってはいけないこと」「女性蔑視だ」などの批判が相次いだ。

アレルギーなどの危険はもちろん、「こっそり」飲ませるという行為に、多くの人が反倫理性を覚えたのだ。

問題は「こっそり」だけではない

しかし問題は、生命・身体に対する危険や、「こっそり」という反倫理性だけに尽きない。ラブポーションの謳い文句には、薬機法上の疑義もある

わが国の薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律。従前、薬事法と呼ばれていたが、平成25年の法改正以降、「薬機法」と呼ばれる)は、医薬品について、承認、認証を得ていない効果・効能を広告することを禁止している。

また、医薬品、医薬部外品などとして承認されていない健康食品の場合、効果効能があるかのような広告を出すことは薬機法違反となり、刑事罰を科せられることもある(もちろん、機能性表示食品であれば別である)。

有名な例としては、2014年、飲料水「強命水 活」を何らかの効果効能があるかのように謳って販売していた会社の社長らが、長野県警に逮捕された一件が挙げられる。

逮捕まで至らなくても、薬機法の広告規制違反をした会社に対し、各都道府県の薬務課が立ち入り調査を入れ、業務停止命令を出す、あるいは薬機法に基づく改善命令を出す、などの例は後を絶たない。

怪しげなサプリの合法・違法のラインは?

では、「効果・効能を謳う」とは、具体的にはどのようなことを言うのか。

いま、医薬品等でもなければ、機能性表示食品でもない「健康食品」「サプリメント」は、星の数ほども売られていて、どれも、それが「何か」に「効く」ように広告している。それらはすべて、薬機法違反でアウトなのか。それとも合法的なものもあるのか。合法・違法のラインはどこなのか。

 

たとえば、健康食品であるハーブ製品について、「春、花粉症の季節がつらい、という人におすすめ」と広告に記した場合はどうだろう。

これは、当該製品が「花粉症に効きます!」とは書いていない。しかしこの広告を見た人は、「花粉症の症状に『効く』製品なのだな」と思うだろう。そうなると、「効果・効能を暗示している」ということで、薬機法違反に該当することになる。

では、「春も快適に」「冬から春への変わり目の前に」などはどうだろうか。これらの場合、「花粉症に対する効果・効能を暗示する」とは見なされない可能性が高く、ギリギリセーフといえるだろう。

まるで言葉遊びのような世界だ。きちんと薬機法を意識して健康食品を販売する会社やその担当者が日夜、表現に気を使う一方で、巧みな言葉遊びによって本来、効果・効能を謳えないいもかかわらず、それをうっすらと匂わせる商品が合法的に販売されているのが現状なのである。