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政府の「デタラメ統計」騒ぎ、実はGDP統計も問題だらけだった

国の経済の根幹に関わる数字だが…

GDP統計という「まやかし」

違法な調査手法が横行し、雇用保険や労災保険でのべ2000万人が本来貰える金額を給付されず、事務費を含めた修正に800億円の資金が必要になったため、2019年度予算案の修正が余儀なくされている「毎月勤労統計」問題で、今月召集予定の通常国会が大揺れに揺れることになりそうだ。

この問題は、政府の基幹統計が杜撰であってはならないことを改めて浮き彫りにした。

しかし、正確さを求められる統計の問題としては、もっと杜撰で罪作りな統計が存在する。国家の経済力や景気の動向を測る指標として誰もが知っているGDP統計が、その統計である。

GDP統計には改定時に経済運営がうまくいってるかのようにドレッシング(お化粧)を施された疑いがあるほか、ここ3年にわたって経済実態を反映していないのではないかと日銀統計局が問題視しており、データを収集してGDP統計を算出する内閣府に対し、生データの開示を迫る騒ぎも起きている。また、外部不経済のように、そもそもGDPには反映されにくい事象も存在する。

今回は、専門家たちが熱い議論を繰り広げているGDP統計の怪しげな部分、闇について考えてみたい。

「2016年12月改定」の怪しさ

まずは概略だ。読者もご存知の通り、GDPはGross Domestic Productの略で、日本語では「国内総生産」という。一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額を指し、GDPの伸びが経済成長率を示すことになっている。

GDPが対象にしている「経済主体」は、国内の家計、企業、政府と輸出から輸入を引いた純輸出だ。

GDPは、経済や景気の動きだけではなく、インフレ、デフレなどに伴う物価変動でも変化する。物価の変動をストレートに反映したものを「名目GDP」、物価変動の影響を排除したものを「実質GDP」と呼び、区別している。実質GDPを算出する場合は、ある年を基準年として、基準年の最終財やサービスの価格を使って現在のGDPを計算する。

 

1990年代以前は、経済指標として、GDPよりもGNP(国民総生産)がよく使われていた。が、GNPは外国に住む日本人の生産を含む一方で、日本国内で活動する外国人の生産を含まない特色がある。国際化が進む中で、国の経済の規模や成長具合を測るものさしとしてはGDPの方が相応しいと考えられるようになった経緯がある。

経済構造の変化によって、それまでのGDP統計が経済実態を表さなくなる可能性があるので、日本では概ね5年に1度、GDPの統計算出基準を見直している。

前回の基準改定が行われたのは2016年12月だ。この改定について、筆者は実施前の2015年4月14日付の本コラム(『バラマキと財政健全化を「両立する」安倍マジックのタネが尽きる日』)で、「国と地方の債務残高のGDP(国内総生産)比」という財政健全化目標の新設とセットになっており、良くなっているかのように見せかけるために「下駄を履かせる」ものだと指摘した。