「Amazon Go」はなにが凄いのか…「詳しい人」の意外な答え

無人やキャッシュレスが本質ではない
鈴木 貴博 プロフィール

Amazon Goでやってはいけない「あるルール」

もう少し詳しく聞いてみると面白いことを教えていただきました。

「Amazon Goの店舗では無数のカメラとセンサーを使ってAIが商品を誰が買ったかをチェックしているんです。その目を欺けないかと思って実は何度も、手に取った商品を別の棚に戻したり、手品のように隠しながらバッグに入れてみたりと、ありとあらゆるトリックプレイを試してみたんです。でも購入判定は正確でした」

ということで、私たちが「やってみよう」と思うようなことはIBAでは一通り実験済みということです。

〔photo〕gettyimages

「Amazon Goの店内ではひとつだけ、普通のお店と違うルールがあるんです。それは手にとった商品を、他のお客さんに手渡しをしてはダメというルール。でもそれも逆手にとれないかと思って試してみたんですけれど、二人で同時に同じ商品をつかんで棚から取って、あとでひとりが自分のバッグにしまいこんだのですが、そのときの購入判定も正確でした」

Amazon Goは2016年にアマゾンの従業員向けに開店して、1年ちょっとの試行期間があったのですが、そこですべてのこういった問題はクリアしたうえで2018年1月の実際のオープンを迎えているようです。

 

Amazon Goは「カイゼン」を続けている

では次の質問ですが、最初にオープンしたお店と、つい先日新規開店したお店では何が違うんですか?

「そこが面白いところなのですが、一号店のシアトルのお店には天井と棚の奥に無数のカメラが置かれていました。ところがつい先日オープンしたサンフランシスコのお店ではセンサーの種類や数が増えている一方で、天井のカメラは目隠しされているので正確にはわからないのですが、たぶん数はシアトルよりも減っているんじゃないでしょうか」

〔photo〕gettyimages

詳しく説明すると新しいサンフランシスコのお店では圧力センサー、重力センサーとマイクが商品棚に設置されているようです。

そうすることで顧客が商品をさわったかどうかは圧力センサーが、棚から商品が持ち去られたかどうかは重力センサーが確認するとともに、マイクが「カサっ」という商品がすれる音を検知して商品が動いたかどうかをダブルチェックしているようです。これとカメラの画像解析から顧客が何をどれだけ買ったかより正確に判定するのです。

「凄いなと思うのは、たとえばガムやキャンベルのスープ缶のように重さや外見が似ていても商品が違うものがあるじゃないですか。それを棚の位置をわざとぐしゃぐしゃにした後で買っても、買ったアイテムがどれなのかをAmazon Goはちゃんと判断できているんですよね」

しかし、そもそもシアトルの一号店で買い物判定の技術は完成していたわけですよね。サンフランシスコの新しいお店ではなぜセンサーが増えているんですか?

「そこがAmazonのAmazonらしいところなんですけど、要するにカイゼンを重ねているんです。最初の段階で無数のカメラを設置すれば正確に判定できることはわかっているのですが、そこからどれだけカメラを減らしても大丈夫か、ないしはどのようなセンサーの情報と組み合わせると一番ローコストで正確になるかを日々実験しているのだと思います。実際にそれまでなかったセンサーが新たに棚に設置されたということも目にしています」

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