# バフェット

バフェットが実践する「実力主義の終身雇用」こそが企業を再生する

年功序列とは必ず切り離すこと
大原 浩 プロフィール

老犬のトリックを子犬に教えることはできない

すでに述べた様にバフェットは、若いころから自分より年上の人々の知恵を使って成功してきたが、M&Aにおいても、買収先企業の経営陣が残留することを条件にする。その会社のことを一番分かっているのは長年働いてきた経営陣であり、他から経営者を連れてきてもうまくいかないからだ。

買収先の企業の既存の経営者をクビにして、お気に入りの新しい経営者を連れてきても、大概成功しないのとは好対照だ。

「老犬のトリックを子犬に教えることはできない」というのは、バフェットお気に入りの言葉の一つだ。老犬は体力も落ちて、スピードや敏捷性では、子犬にも劣る。しかし、老犬には長年の人生で培った「経験・知恵」という武器があり、それは子犬には簡単に学べないということだ。

ピータ―・ドラッカーも「ビジネススクールを卒業したばかりの若者が、いきなり現場の要職につく風潮は、企業にとっても若者にとっても不幸である」と述べている

現代のビジネスの主流は、昔のように倉庫に米俵を積み上げたり、工場で部品のネジを回したりするものでは無い。高い水準の「知識と知恵」が要求されるものである。そしてその「知識と知恵」は、実際の仕事によってのみ学ぶことができるものなのだ。

ビジネススクールで教えている内容など、すでに陳腐化した一般常識にしかすぎず、ビジネスの実践には役に立たない。だから、それぞれの企業で長年働いてきて、ノウハウを蓄積した人々をバフェットはとても大事にするのだ。

 

誰も解雇しないことがバフェットの誇り

そもそも、明日解雇されるかもしれない、あるいは明日やめようと思っている人々が会社に忠誠を誓い、一生懸命働くはずが無い。

だから、万が一リストラをどうしても行わなければならない(そのような状況になるのは、そもそも前任者を含む経営者の責任である)時でも「1回だけ」に限り、2度と行わないことを明言すべきである。そうでなければ、浮足立った従業員たちは、共産主義中国や韓国の産業スパイの格好のターゲットになる。また、仕事のモチベーションも当然下がる。

バフェット率いるバークシャーは、これまで誰も解雇しておらず他社からの引き抜きも無い(1件だけ例外がある)ことを誇りにしており、それが好業績の秘訣でもある。