# 消費税

所得が低ければ税金をもらえる「負の所得税」は世界を変えるか?

これ以上の国民負担増大は社会を壊す
大原 浩 プロフィール

誰が誰のためにお金を使うのか

例えば「子供議会」でこんな提案をするところを想像してほしい。

「3時のおやつのショートケーキのイチゴを2個から3個に増やすのに賛成な人?」。もちろん満場一致で可決されるはずだ。少しだけ高くなるおやつ代を払うのは親たちだから、子供たちの懐は痛まないというわけだ。

フリードマン教授は、このように「誰のお金」を「誰のために」使うのかについて、次の4つに分類している。

1) 「自分のお金を自分のために使う」――いわゆるポケットマネーである。

2) 「自分のお金を他人のために使う」ーー親が子供に対するときだけではなく、赤の他人のためにも人間は理念に基づいた慈善活動などを通じてこのような行動をする。

3)「他人のお金を自分のために使う」ーー前述の子供議会だけではなく、国から何らかの補助金などを獲得する行為も他人のお金である国民の税金を自分のために使う行為といえる。会社の接待で経費で飲み食いする場合も、自分の飲食代についてはこれが当てはまる。

4)「他人のお金を他人のために使う」ーー財団の管理者が慈善事業を行う場合や、弁護士や信託銀行が「信託」を受ける場合、さらには金融商品の「投資信託(ファンド)」もこの例である。この場合、「他人のお金を他人のために使う」管理者が自分の得になるよう行動するという点がフリードマンが指摘する重要点である。例えば弁護士が信託された財産を使い込むという事例はよく聞くし、投資信託は投資家が儲からなくても運営会社は着実に儲かる商品である。

国の財政支出というのは、実は3)と4)が合わさったものであり、他人のお金(税金)を使いたい特殊利益団体の欲望には限りが無く、官僚・役人が税金を自分の有利になるように使おうとすることも止められないのだ。

 

この問題を解決する方法の一つは、官僚や役所の業務をAI化する過程で、各種判断もすべてAIに任せてしまうというやり方である。

すでに述べた様に、AIは、汚職・情実・縁故など不正・腐敗とは無縁だから、杓子定規ではあるが公平な判断をくだしてくれるはずである。杓子定規なくせに情実で動かされる官僚や役人よりはましかもしれない。しかし、AIに支配される世界が薄気味悪いのは事実である。

それよりも「負の所得税」のように、そもそも汚職・情実・縁故など不正・腐敗の入り込みにくいシンプルなシステムを導入する方が、はるかに効果的で国民フレンドリーである。

かなり大胆な提案のようにも聞こえるが、これくらいの荒療治をしないと、各国の財政や社会保障を維持できないほど、状況が切迫しているのも事実である。

★主要参考書籍:M&R・フリードマン著、『選択の自由』、日本経済新聞出版社。