# 消費税

所得が低ければ税金をもらえる「負の所得税」は世界を変えるか?

これ以上の国民負担増大は社会を壊す
大原 浩 プロフィール

非効率性で潤っている人々を

年金や社会保険を廃止することに不安を感じる読者も多いはずだ。しかし手続き的には、これまで支払われた保険料などをすべて加入者に返還し、新規の募集を停止するだけである。

すでに民間の年金積み立てプランや、医療保険などがあるわけだから、実際的な不都合は実のところあまりない。そもそも、国民健康保険が維持できるかどうかとか、若い世代が本当に年金を受給できるの? というような議論が活発に行われているのが現在の状況である……。

非効率な「国営事業」を「民営化」によって活性化した事例は数限りないし、国営の年金や医療保険も例外ではないはずである。401Kプランなどは、ある意味、年金民営化へのファースト・ステップといえよう。

民間のファンド・マネージャーと称する人々の運用の腕前は、平均で言えば「サル以下」であることは、当サイトの2018年9月10日記事「投資の神様バフェットが『投信を買ってはいけない』と忠告する理由」で詳しく論証している。民間でもこの程度であるから、親方日の丸で高給だけが取り柄の運用担当者の腕前はミミズ以下かも知れない。

 

しかし、世の中というのは「正論」がいつも通るわけでは無い。むしろ「正論」が隅に押しやられ、「特殊利権」を持った人々の非合理な主張が取ってしまうことの方が多い。

実際、フリードマン教授が唱えた、もう一つの素晴らしい提案である「学校のバウチャー制度」はそのような勢力に押しつぶされた。

この制度は、政府が各家庭に配布する「教育バウチャー」があれば、私立・公立を問わず、どこでも好きな学校に通うことができる制度である。

しかし、いくつかの州で実験的に導入され、学力水準の向上などはっきりとした成果が表れたのにもかかわらず中止された。選別される側の学校や教師、特に負け組になるであろう人々からの猛烈な反対運動があったからである。

負の所得税、ベーシックインカムも、お金をばら撒く側、つまり文科省、厚生労働省などをはじめとする機関を劇的に縮小させるので、その抵抗はすさまじいものになるであろう。

徴収側の財務省は、負の所得税を支払う機能も負うことになるので、縮小はしないかもしれないが、予算案などに関する権力はそぎ落とされる。

さらには役人たちに癒着した業者もあぶれる。彼らの抵抗をどのように排除するのかが成功のカギである。