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# 消費税

所得が低ければ税金をもらえる「負の所得税」は世界を変えるか?

これ以上の国民負担増大は社会を壊す

ベーシックインカムよりもすぐれた仕組み

民主主義の負の側面である「バラマキ」は限界にきており、どの先進国政府も財政赤字に苦しんでいる。

先進国の国民負担率(GDPに対する税金と社会保障費の比率)は、江戸時代の四公六民や五公五民どころか、七公三民という異常な数値に達しつつある。

また、フランスのジレ・ジョーヌ(黄色いベスト)運動の大きな原因が過大な国民負担にあることは、当サイト2018年12月17日の「パリから始まる反グローバリズムのうねりは『世界革命』に移行するか」記事中で詳しく述べている。

最近巷で騒がれているベーシックインカムは、そのような肥大化した先進国の財政支出をすっきりと一本化し、無駄な事務作業、不正や特別扱いを排除し、結果的に国民負担を減らす素晴らしい手段の一つである。

国民負担が著しく増えている主因が、選挙の票目当ての議員による「バラマキ」にあることは明らかだが、官僚・役人の業務の非効率性によるところも多い。

今でも「紙」でなければ書類を受けつかない役所は少なくないし、1字間違えただけですべて書き直し的な指導も日常茶飯事だ。しかし、そのような定型的かつ非創造的な「お役所」仕事こそAI(エキスパートシステム)がとって代わるべきものである。

まず、「日本年金機構」(旧社会保険庁)のような組織が、AI化すべきであろう。役所というのは不祥事を起こすたびに、責任を取らずに「再発防止のために善処します」と言いながら焼け太り(予算・人員と権限を拡大)する存在である。

AIにはそもそも袖の下をもらおうなどという「欲」が無いし、縄張りを拡大しようという野心も無い「国民フレンドリー」な素晴らしい存在だ。

また、役所に届けを出したり、税金をおさめたりするのに、司法書士や税理士の手を借りなければならない(本人でも申告はできるが……)ほど手続きが複雑なのは、まったく持って役所・政府の怠慢である。

セキュリーティ管理はきちんと行うべきだが、一般常識のある社会人であれば情報を入力するだけで手続きが終わるよう簡略なシステムにすべきなのだ。が、そうなれば役人・官僚の勢力がそがれるので、彼らにそれを実行させるのは簡単では無い。

前述のベーシックインカムは、それを改善する方法の一つではあるが、あくまで全体の一部の改善にとどまる。

それよりもさらに素晴らしいのは、負の所得税である。

 

フリードマンがすでに主張している負の所得税

1976年のノーベル経済学賞受賞者であるミルトン・フリードマンは一歩踏み込んで負の所得税という素晴らしいプランを提案している。簡単に説明すれば、次のとおりである。ちなみに数値は、筆者がフリードマンの主張に基づいて、日本で該当するものをはめ込みわかりやすいようにアレンジした。

1) 財務省HPによれば、課税所得の最低基準は、給与所得控除103.6万円、社会保険料控除42.8万円、基礎控除38万円、配偶者控除38万円、特定扶養控除63万円=285.4万円(給与収入) =約300万円
2)生活保護水準は月額約16万円、年額約200万円とする。
3) 負の所得税の税率をマイナス60%とする。
4) もし該当世帯の収入が100万円であれば負の税率マイナス60%×(基準値300万円-実際の所得100万円)=120万円が支給される。全体の収入は、元々の収入100万円+負の所得税(120万円を国からもらえる)=220万円になる。
5) もし基準金額の300万を上回れば、通常の所得税を払う。
6)もし、まったく収入がゼロであれば。基準値マイナス300万円×60%=180万円を国からもらえる。
7) この負の所得税以外のあらゆる補助金・支援、強制加入の年金・健康保険もすべて廃止する。

上記の説明では直感的にわかりにくいかもしれないがポイントは、

1) 現在の課税基準約300万円を上回る所得税はこれまで通り。
2) 収入がゼロの場合、課税最低基準約300万円の負の税率マイナス60%である180万円を負の税金として受け取れる
3) 働いて収入を得た場合、例えば100万円の収入であれば、負の所得税120万円と合わせて220万円となり、収入ゼロの場合の180万円を上回る。
4)負の所得税以外のすべての、補助金・手当はもちろん、年金や社会保険も廃止する。

このシステムであれば、所得ゼロの世帯が頑張って100万円稼げば、40万円の増収となるわけだから「補助金・手当をもらって勤労意欲が衰える」ということはかなり少なくなるはずだ。