2019.02.19
# 裏社会 # 格差・貧困 # 育児放棄

母に捨てられ、父に売られ…暴力団員の子の想像を絶する人生

育てられない母親たち㉘
石井 光太 プロフィール

常に汚れた服…学校が異変に気づく

小学5年生の冬、母親が育児放棄をする。新しい恋人の家へ通うようになり、やがて家に寄りつかなくなったのだ。

10日に一度くらい思い出したようにフラッと立ち寄っては数千円のお小遣いを置いてまた出ていく。力也は、その金でコンビニでお菓子やおにぎりを買って食いつないでいた。

だが、小学6年生になって間もなく、学校側が力也の異変に気がつく。服が常に汚れているばかりか、修学旅行や面談等の知らせにも応じず、母親に連絡が取れない。そこで学校の先生が家庭訪問をしたところ、育児放棄が発覚した。

児童相談所の職員が駆けつけ、力也を一時保護した。

おそらく職員は母親に薬物依存症の兆候があるなど感じたのだろう。母親のもとに帰さず、児童養護施設に預ける決定をした。

児童養護施設の子供たちの多くは、幼少期から十歳くらいまでの年齢で入ってきているため、力也はなかなか施設になじむことができなかった。

 

暴力団に入ることを夢見た中学時代

中学に入ったばかりの頃、母親が恋人と別れたらしく、思い出したように力也のもとに面会に来るようになった。周りからはうらやましがられたが、力也の思いは別だった。

力也は語る。

「今さら何しに来たのかって気持ちでした。クスリや男のことしか見てこなかったくせに、いきなり母親ヅラして『一緒に暮らしたい』とか『恋しい』とか言われたって、どうせ口先だけに決まってるでしょ。信用してついていけば、また裏切られるだけ。それで施設の人には面会はしたくないって断ってもらうことにしたんです」

きっと力也は幼い頃から母親のことを求め、その度に数えきれないほど裏切られつづけてきたのだろう。だからこそ、心の底では家族を求めていたのに、母親を信じることができなくなったにちがいない。

そんな時に現れたのが、父親だった。父親は力也が施設に入ったことを聞き、学校の方へ姿を現した。下校しようとした時、正門の脇に父親が立っていたのである。それから彼は携帯電話を力也に与え、月に一度くらいのペースで食事へ行き、小遣いを与えた。

中学に入って力也はグレはじめていたことから、父親の影響を大きく受けた。一度に何万円という小遣いをくれて、普段は行けないような焼き肉店で好き放題食べさせてくれる。その上、仲間や先輩に父親が暴力団員だと言えば、みんなが恐れて自分の言うことを聞いた。

力也は父親の威光を借りて不良グループをまとめ上げ、あらゆる非行に手を染めるようになった。そして、いつしか暴力団の構成員になることを夢見るのである。

関連記事

おすすめの記事