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軽自動車の「届け出済み未使用中古車」が増える理由とトクする買い方

軽自動車の闇…?
渡辺 陽一郎 プロフィール

軽自動車の「買い得」グレードが見えてきた

この広さが子育て世代のユーザーに受けた。

軽自動車だから運転しやすく、電動スライドドアを装着すれば、幼い子供を抱えて荷物を持った状態でも乗り降りしやすい。後席の足元空間が広ければ、子供をチャイルドシートに座らせる作業も簡単に行える。

後席を前寄りにスライドさせると、後ろ側の荷室が広がり、ベビーカーや子供用の自転車も積みやすい。収納設備も豊富だから、ボックスティッシュなどをキレイに片付けられる。

N-BOX、スペーシア、タントなどは、これらの機能がファミリーユーザーに受けて人気を高めたが、大人4名で乗る時も快適で使いやすい。

背の高い軽自動車は、子育てを終えてミニバンから次のクルマに乗り替えるユーザーの間でも好評だ。一度ミニバンの広い車内に慣れると、背の低いセダンやワゴンでは窮屈に感じてしまう。長距離を頻繁に移動しない限り、車内が広く実用的で、経済性の優れた背の高い軽自動車で十分と考えるユーザーが増えた。

〔photo〕gettyimages

別の理由として、安全装備や環境性能の向上により、クルマの価格が高騰したことも挙げられる。1990年代の中ごろまでは、ミニバンであれば2Lエンジンを搭載するホンダステップワゴンの初代モデルが200万円前後で用意されたが、今は250~280万円だ。

そして今は、N-BOXの売れ筋グレードが標準ボディで約150万円、上級のカスタムは170~190万円に達する。20年ほど前に売られたステップワゴンの初代モデルと、今日のN-BOXが同程度の価格になるわけだ。クルマが値上げされて予算が同じなら、サイズを小さくするしかない。

 

企業に務める人達の平均給与は、1998年頃をピークに下がり続け、直近では少し持ち直したが20年前の水準には戻っていない。今は軽自動車など小さなクルマに乗り替える「ダウンダイジング」が多く、合理的なクルマ選びのようにいわれるが、実際には苦渋の選択でもあるのだ。

こういった市場環境だから、軽自動車を購入するユーザーは、機能と価格のバランスに敏感になっている。少し高価でもそれに見合う便利な機能や装備があれば購入する。逆に価格と機能の吊り合いが悪ければ選ばれない。

そこでN-BOX、スペーシア、タント、デイズルークスなどは、生き残りを賭けて激しい価格競争を展開している。競争を続けた結果、機能や装備の割に価格を抑えた買い得グレードは、各車種ともに標準ボディが140~150万円、上級のカスタム系は180万円前後に集まるようになった。ギリギリまで儲けを削り、価格を下げている。