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もし働き盛りの夫が死んだら、妻はいくら「年金」をもらえるのか?

万一に備えて知っておくべきこと
貯金、保険、教育費、住宅ローン、老後資金……人生100年時代、「一生、お金に困らない人」はどんな準備をしているのか? そんな女性の疑問に応えるのは、ファイナンシャルプランナーで『腹黒くないFPが教えるお金の授業』などの著書がある岩城みずほ氏だ。人生、何が起こるかわからないもの。もし夫が若くして亡くなったら、どうすればよいのか……。そのとき心強い味方となるのが、「遺族年金」をはじめとする公的保障だ。生命保険よりも大切な公的保障について、くわしく教えてもらった。

まさかのときの「遺族年金」

お金を稼いでくれていた働き盛りの夫が、万が一、亡くなってしまった時、残された家族の生活は一体、どうなってしまうのか──その保障について考えるためにも、やはり「公的保障」について知っておきたいものです。

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そこで、遺族が受け取れる「遺族年金」や「寡婦年金」についての知識を、簡単にご紹介しておきたいと思います。

「年金」というと、いわゆる老後に受け取る「老齢年金」など、本人が受給するものを想像されると思いますが、年金の被保険者が死亡した場合、遺族に年金が支払われます。

まず、遺族年金について。これは、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」に分かれています(共に現役世代で亡くなった場合、それまでの保険料の納付期間〈免除含む〉が国民年金加入期間の3分の2以上あることが給付の条件。ただし、直近1年間に未納月がゼロなら受けられる)。

老齢年金は、「国民年金」と「厚生年金」の2階建てになっていることは皆さん、ご存じかもしれませんが(国民年金が1階で、厚生年金が2階になります)、遺族年金も同じように2階建てになっています。

「遺族基礎年金」は、国民年金にあたる部分で、亡くなった人が国民年金に加入していることが受給条件の前提になっています。子供がいれば受け取ることができ、子供が18歳になる年の3月末まで受給できます。基本的には、高校卒業までです(障害等級1級・2級の子の場合は20歳まで)。

つまり「遺族基礎年金」は、子供が成長するまでの助けというイメージです。

「遺族基礎年金」の年金額は「年77万9300円+子の加算」(2018年度)で、子の加算の額は、1人目と2人目ではそれぞれ年22万4300円、3人目以降は年7万4800円です。

 

「遺族厚生年金」は、厚生年金の被保険者が亡くなった時に、遺族の年収が850万円未満であれば、「亡くなった人に生計を維持されていた」と見なされて受給対象になります。「遺族厚生年金」と「遺族基礎年金」は重複して受給できますが、国民年金のみの加入者が亡くなっても、「遺族厚生年金」の対象とはなりません。

ただし、夫婦ともに厚生年金に加入していたとしても、「遺族厚生年金」の受給条件は、亡くなるのが夫か妻かで変わってきます。

夫が死亡した場合、その妻は子供の有無にかかわらず、再婚しない限り終身で受給することができます。

ただし、30歳未満で子供のいない妻が受け取れるのは5年間のみです。

「遺族厚生年金」の金額は、夫の老齢厚生年金の4分の3相当になります。加入期間が短いと年金額が少ないため、被保険者の加入期間が300カ月(25年間)に満たない場合は300カ月として計算します(「死亡した人の老齢厚生年金額」×「3/4」×「300カ月」〈25年〉「加入月数」)。

さらに、「遺族厚生年金」には、中高齢寡婦加算があります。夫が亡くなった時、40歳以上65歳未満で、子供(※)のいない妻が受け取れます(遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた妻が、子が18歳〈20歳〉到達年度末日に達したため、老齢基礎年金を受給できなくなった時も含む)。

支給額は58万4500円(年額)です。

(※)子とは、「18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子」「20歳未満で障害等級1級・2級の子」。