「人間社会の苦難から自由になる方法」を教えてくれる10冊の本

作家・飯嶋和一が選んだ
飯嶋 和一

飯嶋和一さんのベスト10冊

第1位『森の生活 ウォールデン』(上・下)
H.D.ソロー著 飯田実訳 岩波文庫 上840円、下920円
「単なる隠遁生活ではなく、人生の本質的な自立を探究する作者の姿に、当時20歳前後だった自分を重ね合わせました」

第2位『夜明け前』(全4巻)
島崎藤村著 新潮文庫 630~670円
「作者はこの長編を書くことが宿命づけられていたのでは、と思うほどの熱量の凄さ。日本の小説では一番好きですね」

第3位『星三百六十五夜』(全4巻)
野尻抱影著 中公文庫BIBLIO 各590円
「作者の娘さんにお会いしたことがあります。その時にこの作品の感動を伝えられたことは、私にとって大きかった」

第4位『人間の絆』(上・下)
サマセット・モーム著 中野好夫訳 新潮文庫 各890円
障害を抱えた主人公がさまざまな苦難を経て、人生にある“答え”を見出すまでを描く

 

第5位『カッコーの巣の上で
ケン・キージー著 岩元巌訳 冨山房 入手は古書のみ
「自身の置かれた状況に抗い、真の生き方を追求する主人公の姿に心を打たれました」

第6位『一年有半・続一年有半
中江兆民著 井田進也校注 岩波文庫 入手は古書のみ
「余命わずかな人間が書いたとは思えない、次世代への力強さにあふれたメッセージ」

第7位『カフカとの対話 手記と追想
グスタフ・ヤノーホ著 吉田仙太郎訳 筑摩叢書 入手は古書のみ
「一般的な暗いイメージのカフカではなく、人間的な温かみのあるカフカを知りました」

第8位『ゲンダーヌ ある北方少数民族のドラマ
田中了、D・ゲンダーヌ著 徳間書店 入手は古書のみ
ある北方少数民族の男性の述懐から、民族の歴史とかつて日本の犯した罪が顕在化する

第9位『草の中の伝説
周はじめ著 法政大学出版局 入手は古書のみ
「広大な北海道における、時代の移り変わりの境目を切り取ったような作品です」

第10位『老子 無知無欲のすすめ
金谷治著 講談社学術文庫 1010円
「“足るを知る者は富む”という老子の教えは、この歳になって心に響いてきますね」

『週刊現代』2019年2月2日号より