奨学金は今後、学生の負担をさらに増やす「苦しい制度」になる可能性

一体、誰のための制度改革なのか

延滞債権額の割合は3・5%

いま議論を呼んでいる大学生の奨学金返済問題に対し、財務省と文部科学省が構造改革に着手する。だが結論から言えば、問題の根本的解決には至らなそうだ。

2020年春、日本学生支援機構が貸与型奨学金の仕組みを見直す。長期の延滞が増えて制度を圧迫しているため、借りる学生全員から一定額を「保証料」として徴収する。

だがここでよく考えてほしい。延滞料の問題が解決すれば制度は安定するが、結果として学生の負担は増える。

私大の4年制であれば、大卒時までに800万円近く借りるケースも珍しくない。ただでさえ負担の大きい学生をさらに苦しめるような制度改革になりはしないのか。

 

日本学生支援機構の要返還残高に対する、3ヵ月以上延滞債権額の割合は3・5%('16年度末)となっている。一方、民間金融機関での延滞率は0・01%(延滞債権でも1・2%、'16年度末)である。奨学金の利用者が学生であることを考慮しても、かなり高い。

文科省では、この延滞率の高さを問題視しており、大学ごとの割合を公表している。それを見ると、地方の私立大学のほうが悪い数値になる傾向にある。就職が大変な地方では延滞率が高いという、当然といえば当然の結果だ。

'16年度の日本学生支援機構の「奨学金の返還者に関する属性調査結果」によれば、延滞がはじまった理由は、「家計の収入が減った」(69・2%)、「家計の支出が増えた」(43・0%)、「入院、事故、災害等」(19・2%)、「忙しかった」(14・3%)とある。

この調査をさらに読むと、「返還義務を知った時期」という調査項目がある。延滞者に限ると、「申込手続きを行う前」に知っていた割合が50・5%しかない。

無延滞者の同割合は89・1%であることを考えると、延滞者は奨学金を返さなければいけないことに気づかず学生時代を過ごしていた、というケースが続出しているのだ。

これが奨学金問題における最大のポイントだ。

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