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英語入試改革に小学校英語…なぜ成果が見込めないのに断行されるのか

これは「お金をケチった改革ごっこ」だ

本当に「改革の切り札」か?

2019年1月19-20日、2018年度のセンター試験が行われた。

現行のセンター試験は来年度を残すのみとなった。2020年度から始まる新入試制度のなかでも特に大きな改革が、民間試験を利用した英語スピーキング・ライティング試験の導入である。

もっとも、従来のセンター試験のように、全国一斉に同一の試験でスピーキング試験を行うのはまず不可能なので、英検やTOEFL、TOEIC(四技能型TOEIC)などの民間試験を事前に受験して、そのスコアで代替する形である。

英語入試改革と並んで大きな改革が、2020年度から正式にスタートする「教科」としての小学校英語である。 公立小学校の英語教育はすでに2011年度から「外国語活動」(小5・6を対象)として行われてきたが、教育課程上は教科ではない。

体系的な学習によって知識・技能を身に着けることよりも学習体験を重視するもので、国語や算数のように学習成果を成績という形では評価しない。以前の「道徳」のような学習領域といえばわかりやすいだろう(ただし「道徳」は2018年度から教科化)。

現行の小5・6「外国語活動」は、2020年度から教科としての「外国語」に置き換わる。つまり、現行の英会話体験から体系的な語学に「格上げ」されるわけである。当然、成績も評価されることになる。ちなみに、「外国語活動」は同年度から小3・4に移動する。要するに、早期化である。

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文部科学省は、民間入試導入も小学校英語も改革の切り札だと喧伝している。 入試にスピーキングを課したり、小学校から英語を始めれば、日本人の英会話力は飛躍的にアップすると素朴に信じている読者も多いかもしれない。

しかし、注意すべきは、これらの改革で英語力が向上すると明示的に述べているのは、文科省を代弁するスポークスパーソン(有り体に言えば御用タレント・御用ジャーナリスト)であり、当の文科省は明言していない。明言すると後々の政治的リスクが増すからだろうか。

同様に、研究者にも「これで日本人の英語力が上がるはずだ」と明言している人は皆無である。もっとも、大人の事情から、否定的なことはわざわざ言わず、沈黙を貫き通す人も結構多いが。

 

研究者が沈黙しているところを見ても、入試改革や小学校英語は、実際のところ改革の切り札などではない。同様のことが、文科省による2000年代からの一連の英語教育改革についても言える。

根底にあるのは、いかに成果をあげるかではなく、いかにコストを節約して「改革めいたこと」ができるかである。良く言えば「予算不足という逆境に立ち向かうための苦肉の策」、有り体に言えば「お金をケチった改革ごっこ」である。

本記事では、改革でなぜ成果は上がらないのか、そして、改革パッケージはいかにコストという足かせに制約を受けているかを見ていきたい。