宿題も担任も定期テストも廃止…名門・麹町中学が「大改革」の内実

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週刊現代 プロフィール

当事者意識はあるか?

その辣腕ぶりゆえ、「民間出身校長」に間違われることが多い工藤校長。しかし意外にも、東京理科大卒の教員として叩きあげでキャリアを重ねてきた。

麹町中学赴任前、工藤校長は地元・山形の中学校教員でキャリアをスタート。その後、採用試験を受け直して、東京の中学校に赴任した。

しかし、待ち受けていたのは、いわゆる「教育困難校」。至るところにたばこの燃えかすが散乱し、床にはガムが張り付いて層をなし、盗みや教師に対する暴力もあった。

同僚の教員も匙を投げるなか、工藤校長は「人任せにはしていられない」と考え、自ら生徒指導を買って出た。そして生徒や保護者と直接語る機会を増やしていった。

 

そのときに、繰り返し言ったのが「当事者意識をもつ」ということ。当時の経験が、麹町中学での改革の原点になっている。

麹町中学に赴任してまず気づいたのは、膨大な宿題を前に疲弊する生徒の姿や、無意味な仕事に忙殺され、生徒と向き合う時間を奪われている教員など、同校が抱える無数の課題だった。

工藤校長は当時のことを著書『学校の「当たり前」をやめた。』でこう語っている。

「学校の現状をありのままに受け止める―。そのためにまず最初に行ったのが、課題のリスト化でした」

学校を変えるにはまず教員から。そこで教員の意識改革に着手する。上から一方的に命令されたら、教員にとって業務改善は、「やらされる」ものになってしまう。

彼らの主体性を引き出す方法を模索した。

「例えば、慣例的に勤務時間前から始まっていた『朝のあいさつ運動』はなくなりました。職員会議も効率化され、朝の打ち合わせも時間を短縮できました。さまざまなことで、教員が本来取り組むべき仕事に使える時間が増えました」(以下、工藤校長の発言は前掲書より)

ここでポイントになったのが、教員にも「当事者意識」が芽生えていったことだ。教員自身が考え、「何となくやらされている」という意識が変わった。