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宿題も担任も定期テストも廃止…名門・麹町中学が「大改革」の内実

日本中の教育関係者が注目している

膨大な量の課題に押しつぶされる子どもたち。事務仕事に忙殺され、生徒と向き合うことを忘れた教師たち…。日本の教育現場は「惰性」に陥っていないか? そう問いかけ、行動する教育者が現れたことをご存知だろうか。

今日発売の「週刊現代」で、名門校として知られる区立麹町中学校の「新任校長」が進める、常識破りの改革が紹介されている。

惰性で続けていないか?

「あの学校は、子供の『自己決定』を重視して、子供を主役にしている。まさに、私が叶えたかった理想の教育を実現した学校です」

教育評論家の尾木ママこと、尾木直樹氏が絶賛する公立中学校がある。その学校こそ、東京都の千代田区立麹町中学校だ。

「宿題」「中間・期末テスト」「クラス担任」「体育祭のクラス対抗」「服装や頭髪の指導」……。

どれもみな学校で当たり前のように行われていることばかりだが、同校はなんとそのすべてを廃止してしまった。その他にも、従来の公立中学のイメージを根本から覆す改革を矢継ぎ早に実施し、いまや日本中から教育関係者が視察に訪れている。

前出の尾木氏はこう語る。

「欧州などでは、子供の頃から、自分の意見を表明し、自己決定をする機会を増やすことで、社会の担い手としての自覚をもった大人に育てようとする共通認識があります。

一方、日本は、現在にいたるまで、明治時代に確立された一斉教育のスタイルが刷新されないままになってきた。

そんな教育後進国・日本のなかで、子供の自立を促すことで、世界レベルの教育に一気に追いつこうとしたのが、公立の麹町中学なのです」

一連の改革を主導した人物は、'14年に赴任した同校校長の工藤勇一氏(59歳)だ。

 

麹町中学といえば、国の中枢機関が集中する千代田区に位置し、昔から国会議員や官僚の子息が通う名門だった。

元内閣官房長官の加藤紘一や、俳優・劇作家の岸田森、東京海上ホールディングス初代社長の石原邦夫など、輩出した著名人は数知れず。

かつては「番町小学校、麹町中学校、日比谷高校、東京大学」と進学するのが都内における最高のエリートコースとされていたほどだった。

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あまりに学区域外からの越境入学が増えたため、現在では制限されているが、同校出身者はいまも「麹町中学ブランド」に誇りをもっている。

そんな麹町中学に新たな風を吹き込んだのが、工藤校長だった。有力OB・OGも多いだけに改革への抵抗も強いに違いない。

だが、工藤校長の目には、学校が明確な目的ももたないまま、ただ漫然と「これまでもやってきたから」と、子供に強制するものがあまりに多いように映った。

このままでは、うまくいかなかったときに、なにもかも「人のせい」にする子供が育ってしまう―。大胆な改革に乗り出すことに迷いはなかった。

なぜ決断できたのか。それを知るためには、麹町中学赴任前に話を遡る必要がある。