# マネジメント

「成功事例を横展開しよう!」という号令がいつもうまくいかない理由

たくさんの日本企業が落ちている罠
北野 唯我 プロフィール

組織の天才を殺すサイレントキラー

組織において、重要なのはこの「再現性」をいかにして、適切な形で浸透させるか、です。というのも、別記事(『経営にはなぜ「アート・サイエンス・クラフト」の3つが必要なのか』)で書いたように、再現性(サイエンス)は、アートやクラフトに比べて、明らかに説明能力が高く、その気になれば、全ての「創造性」を破壊してしまうからです。

言い換えれば、一度、間違った形で導入された「サイエンス」は、全ての創造性を崩壊させるほど、パワーをもつ、ということです。一昔前の、MBAが企業を滅ぼす、のようなイメージでしょうか。

その際にキーとなるのは、秀才タイプの人が、いかにしてサイエンスを正しく扱えるか、です。でも、誰も別に「自分の会社を壊したい」と思って、サイエンスを使う人はいません。では、どうすればいいのでしょうか。

詳しくは、自著「天才を殺す凡人」に譲りますが、ポイントは2つだと私は思います。

 

まず一つ目は「失敗することに対する、寛容な態度」をもつこと。

そもそも、サイエンスの良さとは、本来、「失敗できること」です。自然科学の世界では、失敗の連続です。その失敗をただたんに「失敗で終わらせないため」に、科学が存在しているわけです。ですが、一部の秀才は「失敗しないために、サイエンス」を強引に使おうとします。結果的に、新しい事業の目が開花するまえに、その事業の目は潰されてしまうわけです。

もう一つは「コンプレックス」です。

秀才は天才に対して、極めて複雑な気持ちを持ち合わせています。尊敬と嫉妬、その両方です。秀才は、凡人とは違って、天才の凄さを理解できます。一方で世の中的には「秀才=天才」として扱われることも多いため、その分だけ、「複雑な気持ち」を持ちがちです。

「好きか、嫌いか」という単純な気持ちに比べて、「嫉妬と尊敬」という気持ちは、両極端に触れます。結果、『天才を殺す凡人』で描いたようにダークサイドに落ちた秀才は、サイレントキラーとして、組織の天才を殺そうとすることも実に多いと思うのです。

さて、最後に質問させてください。

「あなたの組織は、再現性を適切な形で取り入れられていますか?」

さらに詳しくは、1月17日発売の最新作『天才を殺す凡人』をご覧ください。もしそれぞれの才能や使っている言語を理解し、才能に合わせて対話をすることができれば、組織内でイノベーションを自ら殺すこともなくなるのではないかと信じています。

「読んでいて鳥肌がたった」「この本は、天才がいいとか秀才がいいとか、凡人がよくないとか、序列的なものではない。自身や仲間の「才能の理解」と「対話」のための本」などの声多数。『天才を殺す凡人』はこちらから。