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「未来世紀ジパング」鎌田靖さんが肌で感じた「世界のマネー最前線」

わかりやすい経済ニュースを目指して

海外で起きた一見遠く見える出来事でも、まるでビリヤードの玉のように、自国の政治・経済に連鎖反応が起きるのが、私たちが生きるグローバル社会。経済やおカネの情報を日々発信する当サイト「マネー現代」も、常々それを感じていました。

そこで今回、グローバル経済の最前線である海外の「沸騰現場」を追うテレビ番組「日経スペシャル 未来世紀ジパング」(毎週水曜日22時からテレビ東京系列で放送)でナビゲーターを務めるジャーナリストの鎌田靖さんにインタビュー。

収録や取材を通じて感じる「経済の沸騰現場」はどこなのか、経済ニュースに対する苦手意識をなくす解決策などと併せて伺いました。

取材・文/大澤美恵、撮影/白井智

世界経済を牽引するのは、あの街

―鎌田さんがこれまでの「未来世紀ジパング」の収録・取材で一番印象深かった「経済の沸騰現場」はどこですか?

中国の上海ですね。私は仕事で上海に行く機会が多いんですが、訪問するたびに経済の進展ぶりを肌身で感じます。

10年ほど前、COP15(気候変動枠組条約第15回締約国会議)のときに、会場となったコペンハーゲンへ取材に行った後すぐに上海に飛んだことがありました。コペンハーゲンは福祉が手厚いためか、国民の平均年齢が高くて落ち着いた国という印象を受けたんですが、上海は対照的に若者が多くて都会ならではの喧騒に包まれたエネルギッシュな街でした。そのため、非常に大きなギャップを感じたことを今でも覚えています。

上海には当時から都会的なイメージがありましたが、年々高層ビルの数も増え、風景も目に見えて近代化してきました。今は貿易摩擦によって米中関係が悪化しており、「中国経済は果たして大丈夫か」という懸念の声は少なくありません。しかし、上海は今や近代的な都市の一員として、アメリカと肩を並べるくらい世界経済を牽引する存在になろうとしているんです。そういった理由から、世界における経済の沸騰現場のひとつといえば、上海だと思いますね。

―「未来世紀ジパング」に登場する外国人ゲストの方とお話をする中で気づくことはありますか?

彼らは同じ国に生まれて同じ国で暮らす、というのとは異なるシチュエーションで生活されているので、自分のルーツを持つ国と日本、という2つのカルチャーを相対化できるわけですよね。なので、モノカルチャーの中で育つ人と比べると、感性がより豊かになると思います。今、世界的に多様性が必要だと言われていますが、外国人の方々はまさにその多様性を自ら体現されていると言えるでしょう。

今回の収録では、韓国の社会・経済状況を取り上げるために韓国人のゲストにお越しいただきました。仮に、今回の出演者が全員日本人であれば、一方的な見方をして、単調でつまらない議論になる可能性もありえます。しかし、韓国の方がいらっしゃったからこそ、お互いに気を遣いつつも、それぞれの国にとってより良い方向を模索するような議論になったので、とても良い雰囲気で収録を終えることができたのだと思います。

(左から峰岸博、カン・ハンナ、坂下千里子、真山仁、SHELLY)

さまざまな考え方があって当然なのですが、外国人ゲストの中には、ひょっとしたら日本に対してあまり良い感情を持っていない方や、自国を批判されたときには言い返したくなる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、そういう思いがありながらも、場の雰囲気を尊重しつつ落ち着いて受け答えをされている姿に、彼らの思慮深さを感じますね。

 

―鎌田さんご自身が必ずしも「経済畑」の記者ではなかったからこそ、いま経済番組に携わる上で、大事にしていることはありますか?

私は自分が経済分野に詳しい記者ではないことを自ら公言していますし、周りの方々もそれを理解してくれているので、専門家ぶる必要がないんです。私はもともと人に質問することが全く恥ずかしいと思わないタイプ。だから、わからないことを訊いたときに、「お前こんなことも知らないのか?」と相手に言われても構わないと思っています。周りには「もうそろそろ恥ずかしがったらどうだ」と思われているかもしれませんが(笑)。

特に、経済分野はとても難しい専門的な知識や概念、場合によっては数理計算が必要になったりするじゃないですか。だから、そういうのは詳しい人に尋ねるようにしています。

経済畑出身ではないからこそ、詳しい人に教えを乞うた上で難解な用語や概念を自分の中に落とし込み、一般の方が理解できるであろうギリギリの水準までかみ砕いて説明する。そういうことが僕の役割なのではないかなと思います。