高校も大学も頭を抱える「センター試験改革」あまりに多すぎる問題点

2021年1月、新試験開始だが…
倉元 直樹 プロフィール

さらに、制度変更時には高い確率で入試ミス発生のリスクが伴う。この時は変更があった「地理歴史・公民」で広範囲に問題冊子の配付ミスが生じ、社会問題化した。試験問題冊子が2冊になったことを約1万室に達する試験室の試験監督全員に周知徹底できなかったことが原因だ。

制度変更に伴う様々な点に目配りしたにもかかわらず、「試験問題の分量が増えて1冊に綴じきれない」という本質とは無関係の変更にまで気が及ばなかったというのが正直なところだろう。今回の改革はこの時と比べ物にならないほど大規模である。ありとあらゆる予行演習を重ねたとしても不安が残る。

 

ところが、大学入学共通テストの試行調査の実施は、昨年、一昨年の2回のみである。正直、何が起こり、何をケアするべきか、見当もつかない。しかしながら、刻々と「2年前予告」の期限が迫ろうとしている。制度導入の3年半前の時点まで新共通テストの名称すら分からないというのは、大学入試の常識から考えれば、前代未聞の異常事態としか言いようがないのである。

誰のための改革なのか

現時点で確実に起きると予測できることが二つある。それは、受験生に時間的、経済的負担が重くのしかかり、それによって特定の受験産業が利益を得る仕組みができることと、改革初年度の入試に起こる混乱だ。

この改革は一体誰のためのものなのだろう。教育現場との立場の違いこそあれ、受験生の保護を最優先に政策を立案してきた教育行政サイドの発想とは到底思えない。高邁な理想を掲げて進められている改革なのに、真の目的は別に有ったのかと勘繰られるとすれば、いかにも残念だ。

いずれにせよ、入学者選抜の権限が個別大学にある以上、入試は大学が責任を負うべき事項である。少なくとも、自らの大学を受験しようと考える受験生に不利益があってはならない。

大学の立場として、その大原則を肝に銘じながら、今は暗中模索を続けるしかない。