高校も大学も頭を抱える「センター試験改革」あまりに多すぎる問題点

2021年1月、新試験開始だが…
倉元 直樹 プロフィール

臨教審以降、大学入試も様変わりした。かつては学力検査を基本とする一般入試がほとんどだったが、私立大学では平成19 (2007) 年度から一般入試で入学した学生の比率がついに5割を切るようになった。現在では、様々な経路で入学した学生が同じキャンパスで学ぶ状況が普通である。

センター試験の問題には長年の改良が重ねられ、近年はよく工夫された良問であるという評価が定着していた。つまり、全体として言えば、「偏差値重視」「暗記学習」といったことが問題視されていた臨教審時代とは、よくも悪くも全く違うのが高校教育、大学入試の現状だ。

そうした変化を冷静に捉えると、高大接続答申の高校教育や大学入試の状況描写には、なんとも言い難い大時代的なにおいが漂う。

臨教審は中曽根康弘内閣の際に発足した〔PHOTO〕Gettyimages

制度変更の通知が遅すぎる

それに加えて、工程表に示されたスケジュールは大問題である。端的に言えば、新制度導入までの準備期間があまりにも短すぎる

個別大学には、受験生の準備に影響を与えるような入試方法の変更に対して、「2年前予告」と呼ばれるルールが課せられている。つまり、大学が入試科目を増やすなど、受験準備に十分な時間が必要な変更を行う場合、大学にはその期間が確保できるように2年前までを目安としてその旨を公表する責任がある。

この「2年前予告」のルールは、大学、高校の双方から見て実に悩ましい。

大学側からすると、「2年前」という時期に事前通知をするのは極めて難しい。大学の意思決定には時間が掛かる。大規模大学の場合、改革案が全学の入試関連委員会で提示されたとして、それを委員が学部に持ち帰って意見集約し、次の委員会で改めて審議する。そのプロセスを繰り返す。

相当早くから準備を始めても、ちょっとしたことで決定が先延ばしになることが珍しくない。迂遠なようだが、入試は多数の教職員が関わる一大行事であるため、関係者全員の意思疎通が欠かせない。当然、大きな改革になれば、その分だけ意思決定に要する時間も長くなる。

もし、今回の改革のように大学入試の大きな枠組みが変更になるのであれば、「2年前予告」のはるか以前には新制度の詳細が明らかになっていなければならない。そうでなければ対応に遅れが出る。

 

一方、高校側からは「2年前では遅い」という声が上がる。例えば、センター試験では2012(平成24)年度入試に選択科目と時間割の変更があった。些末な変更にも感じられるだろうが、この時はディテールが固まるのに時間がかかり、各大学の実施状況の細目公表が試験前年の夏頃までずれ込んだ。高校では当該科目を担当できる教員の採用から準備しなければならなかったため、高校と大学で軋轢が生じた。

双方の事情を合わせると、入試改革には的確に「10年先」を読む目が必要なのだ。