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高校も大学も頭を抱える「センター試験改革」あまりに多すぎる問題点

2021年1月、新試験開始だが…

高校も大学も危機感を持っている

「1月の風物詩と言えば?」と尋ねれば、様々な答が返ってくるだろう。その中には「センター試験」も登場するのではないだろうか。言わずと知れた大学入試の共通試験で、次年度の大学入学を目指す50万人余りの若者が一斉に臨む。

毎年、1月半ばの週末2日間に実施されている。規模的にも方法としても世界的に珍しい訳ではないのだが、多くの人がわが国独特と感じている制度である。

「大学入試センター試験」が正式名称である。1990(平成2)年1月に第1回が実施され、来年、2020年1月に行われる試験が最後となる。まさに、平成とともに生まれ、平成とともに幕を下ろす、時代の象徴ということだろうか。

ただし、1月の風物詩という意味では、1979(昭和54)年に前身の共通1次が始まって以来、同じ時期に同じ方法で実施されてきた。2021年1月からセンター試験に代わって行われる予定の「大学入学共通テスト」もその点は変わらないので、一般の人々が違いを実感することはないかもしれない。

しかし、新制度が始まる2021年度入試の受験に臨む今の高校1年生や、1浪すると制度が変わる2年生は、心落ち着かない日々を送っていることだろう。大学全入時代と言われる今でも、大学入試は当事者にとって一生の一大事である。受験生や保護者、指導に携わる高校関係者等が制度変更に敏感になるのは当然である。

それに加えて、現状は入試を実施する側の大学関係者もかつてない大きなリスクに直面して頭を抱える状況が続いている。本稿では、受験生を含む高校側からも大学側からも歓迎されていない新制度の問題点について考えていきたい。

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準備期間があまりに短い

まず、この制度変更が進んだプロセス、そしてその目的をポイントを絞って見ておこう。センター試験の廃止と新共通テストの導入は、いわゆる「高大接続改革」という教育改革政策パッケージの一環である。

2014(平成26)年12月に公表された中教審答申(高大接続答申)で提唱されたもので、「高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の改革を一体的に進める」ことが眼目とされている。

中でも大学入学者選抜(大学入試)の改革には記憶にないほどドラスティックな激変が予定されている。高大接続答申で2020年度(2021年度入試)が新制度導入年度と定められ、そこに至る工程表が示された。現在、準備が進められている。

 

「変化の激しい時代に通用する力を子どもたちに育む」ために、大学入試を「学力の三要素」と称される「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度(主体性)」を全て測定するものに改めることが、今回の大学入試改革の目的とされている。

答申公表後、議論の場は具体策を検討する専門家会議「高大接続システム改革会議」に移された。2016(平成28)年3月にその「最終報告」が公表され、2017(平成29)年7月に文部科学省が発表した「実施方針」でアウトラインが明らかとなった。その際、新共通テストの名称が「大学入学共通テスト」と確定した。開始まで残り3年半というタイミングだった。

新制度導入の3年半前にようやく名称が明らかになるというのは、実は、かつて経験したことがない大変な状況だ。後述の通り、あまりに時間的余裕がなさすぎるのだ。