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意識高い系の「年収1000万円」社員ほど使い捨てられるワケ

日本の製造業の凋落原因もこれだった
鈴木 貴博 プロフィール

年収1000万円の人は消耗品

搾取が強化される側の従業員はどのように対抗すればいいのでしょうか。

「搾取されるのは他に代わりがある人材だ。そうならないために特別な従業員になることが大切だ」という考え方があります。実際に若手ビジネスパーソンにとってはキャリア形成が非常に重要で、自分が仕事を通じて何が得意で何ができるようになったのかといったスキルの獲得が大切です。現代のように会社がいつ傾くかわからないほど競争が不安定で、かつ会社が社員ひとりひとりのキャリアを考える余裕のない時代には、自分自身がキャリア戦略について意志を持って行動することも重要になります。

その結果、上昇志向が強く、生き残りに熱心な社員ほど、3年から5年で次の会社へと転職しながらキャリアアップを目指します。会社に翻弄される使い捨ての人材から、自分で自分の人生を切り開けるキャリア価値の高い人材を目指すわけです。

「凄腕で頼られる人間になれば使い捨てにされることはない」

みなさんもそう考えるかもしれません。この考え方はキャリア戦略としては悪くはないのですが、たぶんそういった生き方を目指している方々が気づいていない大きな落とし穴があります。

世の中の上昇志向の若手ビジネスパーソンがあこがれる「年収1000万円の仕事」というポジションは、よくよく見ると実はかなり体力も心も消耗する仕事で、同時に富の食物連鎖の底辺の労働者よりもきつく搾取されているのです。

 

若いのに年収1000万円を超える仕事がとても「消耗する仕事」だというのは、その立場になっていない人にも比較的想像しやすい話かもしれません。実際私は何百人もそういう人たちを知っていますが、基本的にみな、日夜仕事に追われプライベートの時間がうまくとれずワークライフバランスに悩んでいます。

そのような高給取りだから仕方ないとはいえ、そこに辿りつくためには、さながらブラック企業の中間管理職のような長時間労働を何年もの間こなして、ライバルたちよりも優れた業績を残すことでついにその地位を勝ち得るといったキャリアプロセスを経ることが必要です。

使い捨てられ仕事が変わる

そのうえで年収1000万円のポジションでは、結果を出せなければ簡単にその座を追われるものです。若手で年収1000万円の仕事といえば、外資系企業の部長職あたりがその典型ですが、事業計画が達成できなければすぐに他の人にとって代わられます。言い換えるとその恐怖からみな、必死になって利益を稼ごうと死ぬほど働く。それが年収1000万円の世界です。

しかもそういった地位にある知人は、実によく仕事が変わります。数年ぶりに会ってみると、必ずと言っていいほど名刺の会社名が違う。挨拶のときは「請われて今の会社に移ったんだ」と言うのですが、前の会社をお払い箱になって人材コンサルタントに次の仕事を紹介してもらったというのが本当のストーリーです。

一見華やかでうらやましい年収1000万円の世界は、意外と消耗し、使い捨てにされる世界でもあるのです。

また、年収1000万円の社員のほうが一般の従業員よりもずっと多く搾取されているという事実もあります。

さきほど若手で年収1000万円以上というポジションは外資系企業に多いと言いましたが、若手営業部長の場合、本社に数億円ほどの利益を上納できることがその地位を維持する必須条件だったりします。年収3000万円クラスの事業部門トップの場合、会社に与える利益貢献は50億円から100億円は必要になるでしょう。

外資系投資銀行では株や債券のトレーダーが1億円を超えるボーナスを得るといった話を聞きますが、詳しく聞いてみれば彼単独で稼ぎ出した利益はその数十倍です。