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意識高い系の「年収1000万円」社員ほど使い捨てられるワケ

日本の製造業の凋落原因もこれだった
鈴木 貴博 プロフィール

この神の手によって決まるとされる賃金水準ですが、実は、需要側、供給側のある思い込みが基準になっているという点に、資本主義の成長メカニズムが存在しています。それは一般の民が搾取されることを当然だと信じているということです。

ある平均的な日本人が1時間で4000円も会社を儲けさせる仕事をしていた場合でも、その平均的な人は、自分がもらうべき給与水準は2000円が妥当だと思っている。会社の側も残りの半分を持っていくのは当然のことだと考えている。だから時給は2000円になる。この水準が行動経済学でいうアンカー(価格の妥当性に関する直観的な水準)になっているところに搾取の基本構造があります。

顧客のために搾取する

アダム・スミスの説明ではそれは需要(会社)と供給(労働者)の神の手による均衡点が2000円だからということになるのですが、行動経済学的に言い直せば、そこに均衡するのはほとんどの資本家と労働者が「そのあたりが均衡点だ」と思い込んでいるからだというわけなのです。

実際、現代のグローバル経済での神の手は、だいたいこの半分を搾取する水準で給与レベルが均衡しています。しかしなぜ私たちは、この搾取水準を当たり前だと考えるのでしょうか。

 

そもそも私たちの先祖が、労働によって生産した富を王に差し出すようになったのは、狩猟民族から守ってもらうためでした。民が生活できるぎりぎりの水準を手元において、残りを税として差し出すようになったのは、それが強力な軍隊を維持できる一番合理的な水準だったからです。

現代の資本主義経済下では、資本家が労働者から搾取をする理由は、狩猟民族ではなく顧客にあります。なるべく厳しく労働者から搾取したほうが、結果として顧客に安い価格で製品を供給できる。それがすべてではありませんが、産業革命以降、資本主義で成功するための大きなコツとして、労働者からの搾取は資本家の重要なテーマになりました。