「いずも空母化」と「防衛省が160億円で馬毛島買収」との深い関係

佐世保は米空母の準母港になる
半田 滋 プロフィール

やはり「米国主導」か

馬毛島の取得は、海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化とも無縁ではない。2018年12月に閣議決定した新「防衛計画の大綱」「中期防衛力整備計画」などによって、「いずも」型の空母化と搭載機として垂直離着陸ができるF35B戦闘機を42機導入することが決まった。

F35Bが配備される基地は未定だが、空母化した「いずも」は南西防衛に活用することから、宮崎県の新田原(にゅうたばる)基地が有力視される。

南西諸島に向かう空母「いずも」は海上自衛隊横須賀基地から出港し、訓練海域のある四国沖で新田原基地から飛来したF35Bを搭載。さらに南下して、馬毛島を利用した離発着訓練や対地攻撃訓練が実施されることになるだろう。

 

しかし、馬毛島から約12kmと近い種子島では、騒音被害への警戒感から「FCLP反対」の声が強い。種子島北部にある西之表市の八板俊輔市長も慎重姿勢を示している。

防衛省はこれを懐柔しようと、経済面の波及効果を前面に押し出し、「隊員やその家族が生活する宿舎は種子島に建設する」と地元に説明している。

さらに、馬毛島を自衛隊基地とすることで環境整備法による消防施設、ゴミ処理施設、農林水産業施設などの建設助成を行うほか、FCLPを受け入れることで受けられる米軍再編交付金により、医療費助成、診療所運営助成、福祉バスの購入などの各種助成金も支払うとしている。

騒音という「ムチ」を与える一方で、カネという「アメ」をしゃぶらせようというのだ。

上空から見た馬毛島(筆者撮影)

防衛省が馬毛島を購入するために地権者に支払う金額は160億円とされる。これまでの交渉で示してきた45億円に、100億円以上も上乗せした。大判振る舞いの背景には、米政府から馬毛島の取得を強く求められたことがある。やはり米国主導なのだ。

馬毛島の基地化が実現すれば、FCLPの拠点が硫黄島から馬毛島に移る。同時にそれは佐世保基地の空母準母港化を促進させ、米軍の基地機能が格段に強化されることになる。米軍にとって、日本列島はまさに「出撃基地」と化しているのである。