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正月の北京で、とある中国人に聞いた「米中貿易戦争への率直な思い」

一問一答、四部でお届けする

北京で正月を迎えたことは、先週書いた。経済状況がじわじわと悪化していることも記した。(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59300)

今週は引き続き、ある中国人との一問一答をお届けする。<第1部 中国経済>、<第2部 米中関係>、<第3部 日中関係>、<第4部 中国政治>である。

<第1部> 中国経済の行方

――2019年の中国の経済成長を、どう予測しているか?

中国人: ここ数年続いてきた「6.5%前後の成長」は見込めないだろう。「6%台前半(6.0%~6.5%)の成長」を掲げる。これでも、世界経済の成長分の約3割にあたるのだから、世界への貢献度は高い。

――昨年暮れに北京で「中央経済工作会議」を開いたが(12月19日~21日)、中国経済の現状をどう認識しており、2019年はどんな経済政策を展開していくつもりなのか?

中国人: まず、昨今の中国経済については、「穏中有変、変中有擾」(穏やかな中に変化があり、変化の中に擾(みだ)れがある)と認定した。つまり、「外部環境複雑厳峻、経済面臨下行圧力」(外部環境は複雑かつ厳しい、経済は下降圧力に直面している)ということだ。

厳しい外部圧力の筆頭が、米トランプ政権との貿易摩擦にあることは言うまでもない(中国政府内部では「貿易戦争」ではなく「貿易摩擦」という用語を使用している)。そのため、「要確保経済運行合理空間」(経済を運行する合理的な空間を確保する必要がある)というわけだ。

具体的に言うと、第一に世界経済はこれから下降局面に入り、それは中国経済も同様だろう。第二に、中国の金融政策は2016年以降、債務処理に力点を置いてきたが、その力を緩める。第三に、不動産のコントロールはだんだん手段がなくなってきた。

第四に、不動産の在庫処理は引き続き行っていく。第五に、鉄鋼や石炭の生産過剰問題は、大方片が付いた。第六に、アメリカとの新たな経済摩擦が起こっていることを、重く受けとめている。

こうした結果、輸出、投資、消費という中国経済を牽引してきた「三頭馬車」の歩みは、鈍くなってしまっている。2008年に都市住民の平均負債率は18.8%だったが、2018年第2四半期には50.3%と、とうとう5割を超えてしまった。

そのため、地方債の発行規模を拡大することと、大規模な減税措置を取る決断をしたのだ。財政の赤字率3%突破はやむなしとし、2兆元(約32兆円)を超すの地方債発行を認める。

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減税については、個人所得税の減税措置を、この1月から本格的に始めた(一部は昨年10月から繰り上げ実施)。今後、企業所得税を現行の25%から20%台前半に、また増値税(消費税に相当)の最高税率を16%から10%台前半に引き下げることを検討中だ。

同時に、中国人民銀行は1月に2回、預金準備率を引き下げることを決めた(1月15日に0.5%、25日に0.5%下げると、1月3日に中国人民銀行が発表)。これから春節(2月5日の旧正月)を迎えるので、特に中小零細企業に向けた手厚い対処が必要だ。中国人民銀行は今年、さらに数度にわたって、預金準備率を引き下げる可能性がある。

 

――2016年に習近平政権が鳴り物入りで始めた「供給側構造改革」は、生産過剰の解消、在庫の解消、債務リスクの解消、生産コストの削減、弱者への補償という5本柱からなっていた。開始からちょうど3年経って、今後はどうしていくつもりなのか?

中国人: 5本柱のうち、生産過剰の解消、在庫の解消は、ほぼ達成した。債務リスクも、本当に危険な部分にはメスを入れてウミを取った。そこで、生産コストを減らすために企業減税を実施し、弱者への補償という意味で所得税減税を実施する。つまり供給側構造改革は、今年も引き続き進めていく。

2019年の中国経済の「7大改革」は、企業の生産コストの削減、さらなる対外開放の実施、サービス業の発展促進、国有企業改革の断行、地方分権の推進、重大金融リスクの防止、継続した不動産投資規制の実施だ。

中国経済が悪化しているのは事実だが、まだ政府のコントロール下にあり、かつ政府には諸政策を適用できる空間が十分残されている。そのため、様々なリスクが吹き荒れる外需に頼らない、強力な内需の育成を図っていく。

――今後の中国経済は、何を目指しているのか?

中国人: 「習近平新時代の中国の特色ある社会主義経済強国」を目指していく。具体的には、内需の拡大に加え、製造業において製造コストを抑え、最新技術を開発し、工場の東南アジアなどへの移転を防いでいく。AIを駆使したサービス業も、世界に先がけて推進していく。

また、大銀行は大企業や国有企業に、中小銀行は中小企業に貸し付けを増やしていくような政策を取っていく。そうやってあと10年頑張っていけば、アメリカを追い越して世界最大の経済大国になるというものだ。

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