元暴力団員に聞いてわかった「辞めてから5年間の厳しすぎる現実」

保険も入れず、保育園の入園拒否も…
廣末 登 プロフィール

シノギに使嗾(しそう)される中高生

筆者は、福岡県更生保護就労支援事業所長として、少年院に入院している少年たちと面談し、就労支援を行っている。

少年院に収容されている彼らは10代の少年であるが、対象者の中には、結構な割合で特殊詐欺(オレオレ詐欺)の受け子経験者が居る。さらに、15歳で覚せい剤の売人も居り、犯罪が低年齢化してきている。

12月29日、「普通の中高生『受け子』急増=対策条例でリスク周知へ――大阪府警」という時事通信の記事が掲載された。「割りのいいバイトがある」などと、知人の声掛けやインターネットの交流サイト(SNS)で誘われたケースが目立つという。

大阪府警が特殊詐欺で摘発した少年は昨年11月末時点で計55人。低年齢化、過去に触法経験のない普通の少年が増えているという。

これも少子化の影響といえるのだろうが、我々の少年時代には、中学生など暴力団からは見向きもされなかった。それは、暴力団には組織の掟というタガがあり、さすがに中高生をシノギに使嗾することは考えられなかった。

しかし、暴力団を辞めて行き場のないアウトローや半グレにとっては、そのような組織の掟は存在しない。カネの為なら何でもするという開き直った姿勢は、社会にとって脅威以外の何物でもない。

では、こうしたアウトロー、半グレ問題や、又市征治議員のいう「社会的受け皿」形成のためにはどうすべきか。

筆者は、近著『ヤクザの幹部やめて、うどん店はじめました』(新潮社)などにより、社会的受け皿の具体例を示し、「太陽の政策」の実現可能性と必要性に言及している。

 

再犯防止推進計画と「太陽の政策」

平成28年12月、「再犯の防止等の推進に関する法律」が公布・施行された。翌29年12月には、再犯防止推進計画が閣議決定された。

それは「刑法犯により検挙された再犯者については、平成18年をピークとして、その後は漸減状態にあるものの、それを上回るペースで初犯者の人員も減少し続けているため、検挙人員に占める再犯者の人員の比率(再犯者率)は一貫して上昇し続け、平成28年には現在と同様の統計を取り始めた昭和47年以降最も高い48.7パーセントとなった」からである(法務省HPより)。

筆者は、福岡県更生保護就労支援事業所の所長として、日々、老若男女を問わず、保護観察対象者の人たちの就労支援に携わっている。

再犯の防止のために、各人のニーズを踏まえたオーダーメイドの就労支援の必要性は、筆者が現場に居るからこそ肌で感じている。

更生保護就労支援とは、罪を犯した人の就職活動に寄り添い、社会的な居場所の確保を助け、再び職業社会で活躍するチャンスを得てもらうための支援であり、「太陽の政策」の一環であるといえる。

暴力団離脱者の対応について、筆者は、関東の弁護士会や警察関係機関、自治体などにおいて、暴力団離脱者を社会が受け入れる社会的包摂の必要性につき、以下のように主張し続けている。

「暴力団離脱者を地域社会で受け入れ、就労を通して更生する『太陽の政策』が、彼らを再び犯罪的生活に戻らせないために重要であり、『北風の政策』と『太陽の政策』の協働こそが、実効的な暴力団施策になる」と。

(つづく)