私達はいつまでこのクソつまらない仕事を続けなければならないのか?

「エンゲージメント」で人生を変えろ!
小屋 一雄 プロフィール

仕事も人生も充実させるライフ・エンゲージメント

ここまで、仕事をゲームのように楽しめれば仕事にエンゲージし、生産性も向上し、幸福感も高まる、という構図について書いてきた。

しかし、仕事とゲームは違う、という意見もあるだろう。もちろん、ゲームは限られた世界観の中で楽しむものであり、リアルな仕事は、ゲーム要素はあるものの各人の人生と切り離しては考えられない。そして、人生はもっとずっと複雑である。

多くの患者を看取ったブロニー・ウェア氏は、その著書『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)の中で最期の後悔、すなわち人生で最も本質的で大切なことについて次の5つを挙げている

自分を幸せにしてやればよかった
他人の期待に沿うための人生ではなく、自分がやりたいことをやっておけばよかった
仕事ばかりしなければよかった
自分の本心を伝えておけばよかった
友達と連絡を絶やさないでおけばよかった

 

最期にもっとしっかり仕事をすればよかった、と思う人はいないのだ。もっと人間関係の充実や、自分が本当にやりたいことに時間をかけることが、結局は大切なことなのだ。

しかし、この世の中、仕事をしなければ人生を充実させることは難しいのも事実だろう。仕事は人生のすべてではないが、かといって片手間ではできない。仕事を充実させながら、自分自身のため、そしてよりよい人間関係のために有意義な時間を費やすことが必要だ。仕事上のエンゲージメントを人生に広めていくことが必要なのだ。

自分自身は何者なのか? 本当にやりたいことは何なのか? この重要な問いに答えられる人は少ない。仕事が忙しすぎて、そんなことをじっくり考える暇がない、というのが実情だろう。

グーグル社は、社員の労働時間の20%を自分の興味のあるプロジェクトに充てるという制度を取っている。社員が目の前の仕事の事しか考えず、自分ならではのこだわりを失ってしまっては斬新なアイデアも出てこなくなってしまうからだ。自分が本当にやりたいことをやる時間を持つことによって、エンゲージメントが高まり、その結果業績も高まるのだ。

photo by iStock

人生を後悔しないために最も大切なこと

私が代表理事を務める一般社団法人日本エンゲージメント協会では、エンゲージメントを、

「ワーク・エンゲージメント(仕事)」
「セルフ・エンゲージメント(自分自身)」
「ソーシャル・エンゲージメント(社会・人間関係)」

という3つの軸からなる「ライフ・エンゲージメント(人生)」というフレームにして、協会のコンセプトにしている。

そこでは、仕事に対してのエンゲージメント向上はもちろん、リベラル・アーツなどを通じて自分自身を深く知ることや、社会貢献や人間関係を通じて社会人としての自分を見つめることも目的にしている。

私は、前述の「5つの後悔」とは、結局人生に対するエンゲージメントをもっと高めておけばよかったという後悔だと理解している。

2016年に出版した『シニアの品格』(小学館)は、ワーク・エンゲージメントばかりを高めてきた元エリート社員がある老人との対話を通して人生へのエンゲージメントを取り戻す、と言う話だが、ここでは、人生を後悔しないために最も大切なことの一部を描いたつもりだ。

自分の能力が生かされず、努力が報われない環境はとてもつらく、「このクソつまらない仕事」と言いたくなる気持ちはよくわかる。

しかし、「自分はサラリーマンだから」と思考停止し、「クソつまらない」と言って何もしないことは、やがて人生をも飲み込んでしまう大きな落とし穴に自ら落ちることだと考えたほうがいいだろう。

今の立場上、大きな改革を起こしたり、斬新なアイデアを形にしたりすることはできないかもしれない。それでも、自分をもっとエンゲージさせることはできるのではないだろうか? 会社もそれを望んでいるはずだ。

まずは、今の仕事にどうやったらもっとエンゲージできるか考え、行動する。そうすれば、「クソつまらない」と思っていた仕事が少し違ったものに見えてくるに違いない。

あとは、高い視座で、自分自身、社会を見つめよう。やらなければならないことはたくさんある。悔いなく人生にエンゲージしようと思ったら、「クソつまらない仕事」なんて言っているヒマはないはずだ。