本橋麻里が語る「私はまだまだ成功なんてしていない」【動画付き】

カーリング・銅メダリストの告白⑥
本橋 麻里 プロフィール

そして、その時は必要でない情報でも自分の内側のフォルダにストックしておく。

例えば朝に顔を合わせて「おはよう!よく眠れた?」と声をかけるほうがいいコミュニケーションを取れる人と、朝は弱いのでしばらく放っておいて朝ごはんを食べた後にアプローチしたほうがベターな人もいる。

そういう細かい部分まで突き詰めていくと、大事な試合の前に「あの時のあれ、面白かったね」と思い出を共有できて、それですごいリラックスできたり、ポジティブになれたり、実はすごいエネルギーを産むことがある。

そういう場面がロコ・ソラーレで過ごした8年間で幾度となくありました。

逆に忙しいから、疲れているから、という理由で深く考えずに放った言葉が、場合によって人に深く刺さってしまうこともある。

それを避ける意味でも情報は他愛のないことでも収集、蓄積、そしてアップデートが必要だと考えています。

常呂町へ至る虹の架け橋(撮影/森清)

決して自然に逆らわない

また別のテーマに、「地方から生まれるもの」があります。

これについてはまず、私の故郷の常呂町のいいところを熱弁しています。その上で、この何もない田舎でも可能性がある。むしろ、何もない田舎だからこそ、無限の可能性があると信じて、私たちはカーリングに真剣に取り組んできました。

ウィンタースポーツに関してはほとんどの選手は地方出身者ですし、タマネギ畑、ジャガイモ畑、あとは最高のアイスを持つカーリングホールしかない常呂町は本当にシンプルで、その環境に身を置いて競技生活を送れる一つの理想形だと私は思っています。

そして北見や常呂の方々は、私たちが真剣にプレーしている限り、勝てば一緒に喜んでくれて、負ければ泣いてくれる。そんな方々に囲まれて「常呂から世界へ」を挑戦できる私たちは本当に幸せです。

みなさんはご自身の故郷の、どこが好きですか?

私は自然の変化で四季がくっきりするところが好きです。

常呂町には深い秋に白鳥が飛来してきます。サロマ湖や休耕中の畑で羽を休ませている姿を見かけると、あっという冬が始まります。今年は雪が少ないですが、年が変わる頃には深い雪に包まれて街は静かになります。

天候によってはホワイトアウトも起こり、ひと冬に2~3度は学校も企業も休みになったりします。小さい頃は思いがけず家族全員が休みになって、みんなが平日に家にいる光景は不思議だけど、ワクワクしたものです。

そういう時は北海道の人の多くは決して自然に逆らわず、温かい飲み物を飲んでから、いつもはできない場所の掃除をしたりして過ごします。そういう自然との付き合い方は私は好きで、その生活に価値を感じます。

今は厳しい冬でなかなか難しいかもしれませんが、春になったら皆さんもぜひ常呂町に遊びに来てください。

私の一番好きな季節である春には、山桜を楽しめます。緑の山間に浮かぶ薄いピンクは本当に綺麗です。キタキツネや、時には鹿も路上に姿を見せるので、注意しつつ、カーリングホールにいらしてください。

お待ちしています。

                            (構成/竹田聡一郎)