「“あなた自身”の幸せは何?」現代人に効くキルケゴールの哲学

自分が信じる真理を人生で証明しよう
原田 まりる プロフィール

「自分が信じる真理を、自分の人生で証明する」

キルケゴールはキリスト教徒だったので「宗教的実存」を最終段階に置いていますが、特別な信仰がない、無宗教の人からすると「美的実存と倫理的実存はわかるけど、宗教的実存はちょっとよくわからない……」と思ってしまうでしょう。

しかし、ここでキルケゴールが大切にしていた「自分にとっての真理」という言葉を思い出してみてください。キルケゴールは、「神は絶対に存在しているから最後は宗教的実存だ!」と盲信的に宗教的実存を掲げたのではありません。

 

「神がいようがいなかろうが、自分はいるものと信じて、それを真理に掲げ人生を全うしていく」というのが彼にとっての真理であり、キルケゴール自身がたどり着いた真理であるキルケゴール哲学なのです。

ニーチェが京都にやってきて17歳の私に哲学のこと教えてくれた。』上巻(原作:原田まりる 作画:荒木宰 キャラクター原案:杉基イクラ)©️小学館

つまり彼は「自分が信じる真理を、盲信的に信仰するのではなく、自分の人生を持って証明していく」という立場をとった、ということです。すがるように信じるのではなく、信じることで自身の人生をパワーチャージした、という表現が近いかもしれませんね。

そういった思いを集約した「たとえ世界を征服したとしても、自分自身を見失ってしまったとしたら何の意味があるというのか」という言葉を残したキルケゴールは、社会的な影響力を得るよりも、自分自身にとっての幸福や真理を見失わない方が重要である、という一つの「真理」を後世にもなお提示してくれています。

SNSの「美的実存の氾濫」に耐えられない方は、キルケゴールを読んで自分自身を見つめなおしてみることをお勧めします。

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