一度大失敗した「リモートワーク導入」を成功に導いた3つの施策

経営者が実体験から語る
楠山 健一郎 プロフィール

もう一つは遠隔ロボットの導入です。これはカメラとマイクが付いたロボットで、私が米国にいながらにして、スマホをリモコンのように使い、自由自在に操作することができます。ダブルロボティクス社のロボットで、シリコンバレーの会社でもまだ導入している会社は少ないものです。

カメラの上にはタブレットが設置してあり、ここに私の顔が表示されます。相手の目線に合わせて首の長さを変えられるので、その場にいるかのように相手と会話できるようになりました。

実際に利用している遠隔ロボット(写真:筆者提供)

なにより自由に動き回れるので、自分から好きな時に1対1で社員に話し掛けられるようになりました。雑談も気軽にできます。これによりオフィスに実際にいるような感覚になり、リモートであることのデメリットを感じずに済みます。

採用というポイント

2:会社と個人がWin-Winとなる人材を採用する

社員が自律的に、そしてリモートでも管理の必要なく働いてもらうにはどうするか?

これは社員を信じ、会社の経営状態をオープンに伝え、自分たちの仕事の意味付けを伝えることが第一になります。つまり、彼らを会社の経営の当事者にすることです。ただ、実際に今いる社員全員に会社全体を自分ごとと感じてもらうように働きかける、教育をしていく、となるとそれは大変時間がかかる難しいことだと思います。

その点から当社は誰と働くかを選ぶこと、つまり採用に力を入れています。採用の現場では面接の際に、自分の将来の夢や目標を語ってもらい、会社と同じ方向性だなと感じた人を採用するようにしました。

そのためにまず行ったのは、会社のビジョンとミッションをしっかり定義し、紙に言葉として落としこむことでした。会社にとってのWinを具体的に定めることで採用人材の基準が明確になりました。実際、弊社ではこのWin-Winの概念を採用に徹底的に導入した結果、会社を個人の夢の実現や自己成長の場だと思って働く社員ばかりが集まってくれています。

逆に素晴らしい学歴、職歴、技術を持っていても、会社と方向性が合わない、もしくは会社のWinを考えてくれない自己中心的な人を落とすということが躊躇なくできるようになりました。

かつてのように社長がその場にいなければ会社の方向性がバラバラになる、ということもなくなってきており、リモートで経営をしていても社員に対する信頼感、安心感を今は持っています。

 

評価制度の変更

3:時間ではなく成果に報いる評価制度

もうひとつ取り組んだのが評価制度改革です。働いた時間に応じて報酬を払うのではなく、成果に合わせた評価制度を導入しました。社員からすれば、成果が認められるのはモチベーションアップにつながるでしょうし、会社としても極論さぼっていようが何をしていようが、成果や納品物を期限通りに出してくれればそれで良いと割り切ることもできます。

今は優秀な人材は難しい仕事も短時間で終わらせることができます。例えば優秀なエンジニアは社内の効率の悪い仕組みを、システム導入やちょっとしたプログラムで一瞬のうちに解決してくれますし、優秀なコンサルタントは企業が向き合う複雑な課題を一瞬でわかりやすく説明し、解決の道筋を示し、会社に利益をもたらしてくれます。

それを働いた時間で評価し支払ってしまうと、その人の給与はむしろ低くなり、モチベーション低下に繋がります。