一度大失敗した「リモートワーク導入」を成功に導いた3つの施策

経営者が実体験から語る
楠山 健一郎 プロフィール

リモートワークの最悪のシナリオ

「リモートワーク導入後の最悪のシナリオ」と呼ぶべきケースは、会社が「リモートワークによって社員がさぼるようになるかもしれない」という疑心暗鬼から社員を強く管理しようとし、他方で社員もリモートを悪用することです。その結果、現場のパフォーマンスが落ち、マネージャーも業績悪化をリモート制度のせいにしてしまいます。

では、なぜ社員は仕事をさぼろうとするのか。おそらくそれは「やらされ仕事」をしているからではないでしょうか。やらされ仕事はそれだけでも意欲を削ぐものですが、そこにリモートワークが加われば「さぼってラクにお金を稼ごう」という心理が働いても仕方がないように感じます。

 

米国や日本など国を問わず、企業が大きくなり仕組化されれば、ルーティン的なやらされ仕事が増え、「ラクにこなそう、リモートを悪用しよう」と考える社員が増える傾向にあるかと思います。

米ヤフーやIBMでも、上記のようなことが起こっていたのではないでしょうか。その点において大企業におけるリモート導入とその管理はベンチャーに比べるとより難しいものかと思います。

「良いリモートワーク」を実現するために

こうした考えにのっとると、良いリモートワークとは社員が自律的、主体的に仕事できる環境を作り出すことだといえそうです。自律的に働いてくれるなら、マネジメント側が管理する必要もありません。

では社員はどうすれば自律して仕事をしてくれるのか。先程の失敗から、私は社員の将来の夢や目標が、会社の方向性と一致していれば、彼らは自ずと積極性を持って自律的に働いてくれるのではないかと考えています。つまり社員と理念を共有し、仕事を通してお互いWin−Winになることが、良いリモートワークの条件と言えるのではないでしょうか。

自分の夢や目標のためと思えば、社員は働くことに意欲を燃やしますし、それが結果的にパフォーマンスの向上につながり、最終的には会社の業績もアップする。これが良いリモートワークだと感じています。

また「やらされ仕事」を「意味ある仕事」と働きかけることも重要になります。ある仕事が「やらされ仕事」になるかどうかは個人の受け止め方の問題です。会社において会社に貢献しない仕事はなく、またどんな仕事でも個人が成長しない仕事もない、と受け止めることもできます。

今の仕事が会社のWinにどう貢献し、将来の個人のWinにどう紐付いていくか、経営陣や管理するマネージャー陣は伝えていくべきでしょう。

リモートワーク改善のための3つの施策

こうした経験、そこから得た反省から、私は以下を重点的に見直し、リモートワークに適した環境を整えることができました。その結果、渡米した年にマイナス3000万円まで落ちていた営業利益が、たった1年で約1億の利益を生むまでに成長しました。

1. コミュニケーションツールの導入
2. Win-Winになる人の採用の徹底
3.評価制度

1:コミュニケーションツールの導入

前記の「コミュニケーション総量の減少」の対策として当社では2つのツールを導入しました。1つは「ビジネスチャットツール」。もう一つはシリコンバレーでも目新しい「遠隔ロボット」の導入です。

ビジネスチャットツールとは個人間で行うLINEなどのビジネス版です。チャットであれば「今話せる?」「あのプロジェクト終わった?」というように話しかけるように活用でき、コミュニケーションの総量も上がります。

それはEメールよりもより早く、カジュアルです。日本では「チャットワーク」や「Slack」などが有名ですが、当社はいち早く「Slack」を導入しました。これによりリモート状態でも、いつでもつながっている、いつでもコミュニケーションが取れる、という状態を作り出しました。リモートワークとの相性は非常に良いと感じるツールです。