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一度大失敗した「リモートワーク導入」を成功に導いた3つの施策

経営者が実体験から語る

リモートワーク制度は米国では廃止の方向?

「リモートワーク」という言葉をよく耳にするようになりました。日本では多様な働き方の代名詞のように扱われることもあり、導入を進める企業が多いように感じます。

その理由のひとつに「生産性の向上」を挙げる企業は少なくありません。通勤時間の短縮、集中して仕事に取り組める、家庭と仕事を両立しやすいなど、確かに生産性が上がりそうな要因を、リモートワークはたくさんもっています。

しかし、果たして本当にリモートワークを導入すれば、社員は生産性高く働いてくれるのでしょうか。結論から言えば、ただリモートワークを導入するだけでは生産性はむしろ下がる可能性が高くなります

実際に米国全体を見ると、積極推進派として一時は4割以上がリモートを活用していたIBM社がリモートを廃止しています。業績が低迷していた米ヤフーのCEOに就任したマリッサ・メイヤー氏が実際にオフィスに行くとほとんど誰もいなかったことから、リモート禁止の通知をした話は有名です。

その通知内容といえば、「社員は社内にいることが重要で、良い決断に結びつくアイデアや議論は社内のちょっとした立ち話、新しい部門の社員との出会い、そして即席ミーティングから生まれることもある」という内容であり、逆にいうとリモート制度によって生産性も業績も下がったので廃止した、と考えられるものです。

一方でこれらの事例は若干行き過ぎた極端な例で、リモートワーク自体は確実に米国でも日本でも普及、浸透してきている感触があります。

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弊社はデータ解析によってデジタル・ビジネスの課題解決をするコンサルティング事業に取り組む企業で、2011年に創業しました。創業当初からリモートワークを導入しており、業績も伸びていることから、うまく活用できている方かと思ったのですが、一時リモートワークを活用する中で最終的には業績に悪影響が出る、ということを経験しました。

創業から6年ほどして、2016年夏に私が家族を連れて米国シリコンバレーへと拠点を移したタイミング、つまり「社長がリモートワークで仕事、経営をし始めた」時に、はじめての業績赤字を経験しました。

 

当時、当社はいわゆる「成長の壁」にぶつかっていました。「成長の壁」とは、特定の個人が会社を引っ張っていたために、その個人の能力の限界が会社全体の能力の限界になる状況を指します。

この状態を脱却するべく改革を進めており、私のリモートワークもその一環でした。しかし、リモートのよる「コミュニケーション総量の減少」、つまり社長がその場にいないために「理念の徹底が弱くなる」ことが影響し、売り上げが増えた以上にコストが増え、結果的に会社のパフォーマンスの悪化を招いていたと分析しています。

どういう状況だったか、細かく見ていきましょう。